イラクではイスラム教スンニ派の過激派組織が第2の都市モスルなど北部と西部の広い範囲を支配し、「イスラム国家」の樹立を一方的に宣言して政府軍と戦闘を続けています。
地元のメディアによりますと、過激派組織は7日、少数派のキリスト教徒が多く暮らすモスル近郊の3つの町を相次いで攻撃し、これらの町を守っていたクルド人の部隊を撤退させて制圧したということです。
過激派組織はキリスト教徒に対し、イスラム教への改宗を強制したり家財を没収したりしているということで、弾圧を恐れた数千人のキリスト教徒がクルド人自治区などに避難しています。
また、シリアとの国境に近い北部の都市シンジャルでも、今週に入って、ゾロアスター教などの流れをくむ宗教の住民およそ20万人が過激派組織の攻撃で住む家を追われ、周辺の山岳地帯などに避難しています。
国連によりますと、過激派組織に主要な道路を占拠されているため水や食料などの支援物資を十分に届けることができず、これまでに40人の子どもが脱水などの症状で死亡したということです。
過激派組織は少数派の宗教の住民や民族に対して攻勢を強め、支配地域の一層の拡大を進めているとみられます。
ホワイトハウスのアーネスト報道官は7日の記者会見で、「過激派の攻撃を強く非難する。現地は人道的な問題がさらに悪化しており、もはや破滅的な状況にあると聞いている」として、深刻な懸念を示したうえで、アメリカ政府として状況を注視していると述べました。
一方、イラクの過激派に対して、オバマ大統領はアメリカ軍による空爆を選択肢として検討しているのかという質問に対して、アーネスト報道官は「答える立場にない」と明言を避け、この問題はイラクの人々が話し合いによって解決すべきだとする従来の姿勢を述べるにとどめました。
また、アメリカ国防総省はNHKの取材に対して、「避難している人々に、イラク政府が必要な物資を航空機から投下している」としたうえで、アメリカ政府としても直接的な支援を含め、どのような追加的な支援ができるかイラク側と連絡を取っているとしています。
ホワイトハウス、米国がイラク空爆検討との報道に論評せず | Reuters
イラクの宗教的少数派住民4万人の支援に向け、オバマ米大統領が空爆および救援物資の投下を検討していると米ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙が報じたことについて、ホワイトハウスは7日、コメントしないと述べた。
アーネスト報道官は、「イラク問題に対する米軍の解決策は皆無だ」とした上で、米政府としてイラク、クルド当局者らによる取り組み継続を支援していくとした。
イスラム過激派がクルド自治区境界に進撃、キリスト教の町も制圧 | Reuters
イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」は7日、イラク北部のクルド人自治区の境界近くに進撃した。同組織はイラク最大のキリスト教徒の町カラコシュも制圧、数万人のキリスト教徒が避難する事態になっている。
ロイターが撮影した写真では、イスラム国の戦闘員とみられる集団が、クルド人自治区の境界にある検問所を支配下に置いている様子が確認できる。検問所は同自治区の中心都市アルビルから車で約30分の地点。
ただ、クルド人自治区の治安当局者は検問所の制圧を否定。クルド自治政府は、治安部隊が「テロリスト打倒」のために派遣されたとし、住民らに平静を保つよう求めた。
一方米国では、ある高官が、身動きが取れなくなっているイラクの宗教的少数派住民の支援に向け、米軍による救援物資の投下をオバマ政権が容認したと述べた。
米紙ニューヨーク・タイムズは、オバマ大統領がイラクでの空爆も検討していると報道。米当局者らはこの報道を認め、オバマ大統領が2011年の米軍撤退以来初めてとなる空爆の実施を検討しているとした。
Twitter / ABCWorldNews: BREAKING: US official: US
BREAKING: US official: US military begins humanitarian air drops for 1000s trapped in Iraqi mountains by ISIS - @MarthaRaddatz
Twitter / VictorCNN: BREAKING: Humanitarian air
BREAKING: Humanitarian air drop missions have begun over Northern Iraq. Planes are in the air, a Sr. US official tells @barbarastarrcnn.
Twitter / CNBCWorld: U.S. officials confirmed to
U.S. officials confirmed to NBC News that flights to Iraq had begun to drop humanitarian supplies: http://cnb.cx/1sCjYyx
Twitter / OutFrontCNN: "Over 500 men have been
"Over 500 men have been slaughtered ... our women are being sold as slaves." Powerful soundbite from @jimsciutto's #Isis story
Twitter / OutFrontCNN: "This is an enormous moment
"This is an enormous moment for the President, and also a really difficult decision for him to make." - @jimsciutto
オバマ米大統領は7日、イラク北部に展開しているイスラム過激派組織「イスラム国」に対する限定的な空爆の実施を承認したと表明した。
「イスラム国」がイラク北部のクルド人自治区の中心都市アルビルに向けて進軍した場合、現地の米国人を保護することが狙い。
大統領は、過激派に包囲されている少数派の住民が「虐殺される恐れがある」とも指摘、人道支援物資の投下を認めたことも明らかにした。
米軍によるイラク空爆は2011年末のイラク駐留米軍撤退後初となる。大統領は、地上部隊を投入することはないと強調。米国がイラクの戦争に深く関与することはないと述べた。
大統領は「我々は虐殺行為を防ぐため、慎重かつ責任を持って行動できる」と発言。「このため、必要な場合、限定的な空爆を認めることを決めた」と述べた。
Statement by the President | The White House
空爆承認 米大統領が人道上必要と強調 NHKニュース
オバマ大統領は7日、ホワイトハウスで声明を発表し、イラク北部でイスラム教スンニ派の過激派組織が攻勢を強めている事態に対し、限定的な空爆と、山岳地帯に避難している少数派の住民に食料や水などの支援物資を空から投下する作戦を承認したことを明らかにしました。
限定的な空爆は、首都バグダッドやクルド人自治区の中心都市、アルビルなどでアメリカ国民や関係施設の安全が脅かされた場合や、山岳地帯でイスラム過激派に包囲されている少数派の住民を保護するイラク軍を支援するため、必要に応じて行うということです。
オバマ大統領は、今回の決定について「イスラム過激派は、少数派の住民全体を組織的にせん滅させることをねらっている。大量虐殺に等しい」と述べ、過激派を厳しく非難しました。
そのうえで「アメリカは、見て見ぬふりをすることはできない」と述べ、限定的な空爆の承認は人道上必要だと強調し、イラクに再び軍事介入することに批判的なアメリカ国民に理解を求めました。
オバマ大統領としては、イスラム過激派が異なる宗教の少数派の住民に対して攻勢を強め、食料や水などの支援物資が届かず子どもたちの死亡が報告されるなか、人道的な立場から最低限の軍事行動の承認に踏み切らざるをえなかったとみられます。
Twitter / Reuters: Obama authorizes #Iraq strikes
Obama authorizes #Iraq strikes to protect Christians, prevent "genocide": http://reut.rs/1nzf2oS