WHOは日本時間の12日午後9時からスイスのジュネーブにある本部で会見を開きました。
この中でWHOは、エボラ出血熱の患者が過去最大の規模で増え続けている事態を受けて、安全性などが最終的に確認されていない未承認の薬の使用を一定の条件の下で認める方針を明らかにしました。
具体的には、患者に薬のリスクなどを事前に説明したうえで本人の同意を得ることや、地元政府などの理解を得ることなどが必要だとしています。また、実際に薬を使う場合は、患者の容体の経過や薬の効果などについてのすべてのデータを収集して公表するよう求めています。
ただ、未承認の薬の量は非常に限られていることから、どの患者が優先的に薬の投与を受けられるかについて基準を設ける必要があり、WHOは今月末に改めて専門家の委員会を招集して議論するとしています。
日本時間の12日夜、スイスのジュネーブで会見を開いたWHOのキーニー事務局長補は「この異例な規模での感染拡大において、未承認の薬の使用は倫理にかなうという点で専門家の意見は一致している」と述べて、安全性などが最終的に確認されていない未承認の薬の使用を一定の条件の下で認める方針を明らかにしました。
具体的には患者に薬のリスクなどを事前に説明したうえで本人の同意を得ることや、地元政府などの理解を得ることなどが必要だとしています。
また、実際に薬を投与した場合は、患者の容体の経過や薬の効果などのデータをすべて公表し、各国の研究機関や医療機関が共有できるようにすべきだとしています。
エボラ出血熱には安全性や有効性が確認された薬やワクチンがないことから、未承認の薬の提供を求める声が西アフリカの国々などから上がっていました。
ただ、使用が認められても、現時点では、未承認の薬の量は限られており、患者が増え続ける事態を食い止めることはできません。
さらに、どの患者に優先的に薬を投与するかについて基準を設ける必要があることから、WHOは今月末に改めて専門家の委員会を招集して議論するとしています。
エボラ出血熱の治療薬やワクチンは、すでに一部の製薬会社などが開発していますが、安全性や有効性がまだ確認されていません。アメリカのCDC=疾病対策センターによりますと、治療薬は、アメリカのカリフォルニア州やノースカロライナ州、それにカナダの製薬会社などが開発しています。またワクチンについては、アメリカのNIH=国立衛生研究所が、イギリスの製薬会社と開発しており、ことし秋にもワクチンの臨床試験を始めるとしているほか、オランダの会社などの開発も支援しているとしています。カリフォルニア州の会社が開発する薬は、リベリアで感染したアメリカ人の患者2人に投与され効果が出ていると伝えられていますが、同じ薬の投与を受けたスペイン人の患者は12日に死亡したということです。
アメリカのCDC=疾病対策センターによりますと、カリフォルニア州の会社が開発している未承認の薬は、エボラウイルスのタンパク質に作用し、体からウイルスを排除するよう免疫機能の働きを助けるものだということです。複数の海外メディアは、去年、行われた実験で、この未承認の薬をエボラウイルスに感染させ熱などの症状が出たサルに投与したところ43%が回復したと伝えています。ただ、この薬を開発している会社は、ホームページ上で「現在、用意できる薬の量はごく僅かだ」とコメントしています。