ウクライナ東部では、政府軍が親ロシア派の武装集団に対する攻勢を強めており、武装集団が拠点とするドネツクなどの都市では、食料や水、医薬品などが不足する事態となっています。
これを受けて、ロシア政府は12日、人道支援の物資を載せたトラック280台をモスクワ郊外から現地に向けて出発させました。
ロシアのラブロフ外相は、「ウクライナ政府は、みずからが制圧した地域でのトラックの安全な通行を保証した」と述べ、ロシアのトラックを直接、ウクライナ東部に向かわせる考えを示しました。
一方、ウクライナ大統領府のチャルイ副長官は、「国境で赤十字国際委員会が別のトラックに積み替える」と述べ、ロシアのトラックの乗り入れを認めないとしており、人道支援を口実にしたロシアによる介入に警戒感を示しました。
ウクライナと欧米は、親ロシア派の後ろ盾となっているロシアが、国境付近で再び兵力を増強していると批判しており、両国の対立が人道支援にも影響する事態となっています。
ウクライナ情勢を巡って、ロシアは、欧米からの農産物や食料品の一部を輸入禁止にする一方、エジプトからの輸入を増やすことで合意しました。
ロシアのプーチン大統領は12日、南部のソチで、ロシアを訪問しているエジプトのシシ大統領と会談しました。この中で、双方は、ロシアがエジプトからジャガイモやタマネギ、オレンジなど農産物の輸入を増やすことで合意し、シシ大統領はロシア向けの供給量を30%ほど増やす考えを表明したということです。ロシアは、欧米による追加制裁への対抗措置として、欧米からの農産物や食料品の一部の輸入を1年間禁止すると決めたことから、ロシアのメディアは、代わりの輸入先として期待されると伝えています。
一方で、ロシアからはエジプトに小麦の輸出を拡大することや、戦闘機やミサイルの売却などで合意したということです。ロシアは、アメリカと密接な関係を保ってきたムバラク政権が崩壊したあと、エジプトとの関係を強めていて、ウクライナ情勢を巡って欧米との対立が深まるなか、エジプトとの良好な関係を強調することで欧米をけん制するねらいがあるとみられます。