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ジャクソンホールでのイエレン議長講演要旨 | Reuters

労働市場回復と金融政策>


回復が進むなか、労働市場にどの程度の緩みが残存するかを判断する上で、米連邦準備理事会(FRB)の二大責務と一致する雇用水準をめぐりかなりの不透明性が存在するため、ニュアンスを読み取ることが一段と必要になっている。


従って、フォワドガイダンスの改定で、政策決定は単一の指標に基づかず、労働市場や物価動向、金融情勢に関する幅広い情報を考慮するという連邦公開市場委員会(FOMC)の見解を再確認した。


<労働参加率>


2008年以来見られている労働参加率の低下には、1)定年退職、2)障害、3)学校への入学、4)労働者の失望を含むその他の要因、という4つの要素が大きくなったことが背景として挙げられる。


これらのうち、労働市場軟調だったことが労働者の失望が増大した直接の要因だった可能性が高い。このため、労働需要がさらに増加し失望した労働者の多くが労働市場に呼び戻されると予測することは理にかなっている。


実際、労働参加率が昨年終盤から横ばいとなっていることは、労働市場をめぐる状況に著しい改善が見られていることを受け、失望した労働者が労働市場に戻りつつあることを一部反映している可能性がある。


これが事実なら、労働参加率の循環的な低下は和らいだ可能性がある。


<パートタイム就業者>


労働人口の5%近くを占めており、失業率に対して、また歴史的標準と比較してパートタイム就業者の数は多い。そのため現在の失業率水準は、労働市場に残る緩みの度合いを過小評価している、との見方を裏づける根拠の1つとなっている。


経済的理由からパートタイム職に就いている人々の割合が長期的にどのような水準に落ち着くのかを見通すことは困難だが、選択の余地がなかったパートタイム就業者がリセッション(景気後退)時から急増し、その後も減少ペースが鈍いことは、景気循環的な要因が大きいことを示唆している。


<雇用>


過去1年に求人件数が大幅増加したことは、労働市場状況の顕著な改善を示しているが、求人率は景気後退時の低下からやや持ち直したに過ぎない。求人件数の増加により、雇用は加速する見込みだが、求人状況の改善に伴い雇用が伸びない場合は、企業が依然として採用増を正当化するほど成長見通しが明るくないとみていることを示しているかもしれない。一方で、雇用が抑制されている状況は、企業が適正人材を見つけることが難しい状況を示唆している可能性がある。


しかしながら、証拠を踏まえると、総じて弱い総需要が、景気後退とその後の回復期における離職、雇用水準の低迷に大きく寄与していると判断している。


<賃金インフレ>


実質賃金の伸びはおおむね横ばいで、労働生産性よりも低い伸びにとどまっている。このようなさえない賃金の動向は、名目賃金がインフレに大幅な上方圧力を及ぼすことなく、一段と速いペースで上昇していく可能性を示唆している。


また、賃金動向が歴史的に労働市場のひっ迫状況に敏感なことを踏まえると、最近確認されている名目および実質賃金の動向は、労働情勢が失業率によって示唆されているよりも軟調な状況にあることを示している。


<長期失業>


長期的に失業している労働者、および労働市場から脱落したものの景気が力強さを増した際に復帰しようとしていると思われる労働者は、再雇用に向け著しい障害に直面している。


こうしたケースでは、労働市場がさらに改善すれば、完全雇用が達成される前に一時的に賃金圧力が強まる可能性がある。


労働市場の緩み>


われわれの目標に景気状況が近づくにつれて、FOMCの関心事項は、残存する緩みの程度、緩みがどの程度の速さで解消するか、つまりどのような条件下で異例の緩和策縮小を始めるべきかとの問題に自然と移りつつある。


これまでの私の発言で明らかなように、緩みの評価は幅広い指標に基づく必要があり、労働市場の循環的、構造的影響について困難な判断を要する。


<金融政策>


このところの連邦公開市場委員会(FOMC)声明で示している通り、政策スタンスは、最大雇用とインフレ率2%というわれわれの目標からどの程度離れているのか、また、これらの目標達成に向けどの程度のペースで進捗しているのかに関するわれわれの評価により導かれる。

労働市場は依然回復途中、実用的な政策判断必要=イエレン議長 | Reuters

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は22日、米労働市場は依然として景気後退の影響を払しょく仕切れておらず、FRBは慎重に利上げ開始時期を見極めていく必要があると述べ、FRB内のタカ派メンバーらをけん制、実用主義的な政策判断が必要との考えを示した。


労働市場は見かけよりもひっ迫している可能性があり、FRBが早めに利上げに踏み切ることもあり得ると示唆。その一方で、労働市場には依然、多大なスラック(緩み)が存在すると強調した。


当地で開催されている経済シンポジウムでの講演で語った。


失業率が予想以上に速いペースで低下したことを指摘しつつも、失業率のみを指標として米労働市場の健全性を判断するには不十分と強調。「進行中の労働市場の構造の変化や、深刻な景気後退が労働市場の機能に永続的な変化を及ぼした可能性によって」、完全雇用に近付いているかどうかの見極めは困難になったと語った。


さらに「労働市場にどの程度のスラック(緩み)が残存するかを判断することも、 FRBの二大責務と一致する雇用水準をめぐりかなりの不透明性が存在するため、ニュアンスを読み取ることが一段と必要になっている 」と述べた。


こうした環境下では「適切な政策を策定するための単純なやり方はない」と強調。既定の政策路線にコミットせず、入手される指標や情報に基づき政策を決定する「実用主義的な」政策アプローチを主張した。


イエレン議長は、FRB労働市場に存在する緩みの度合いを見誤った恐れがあり、早期に利上げする必要がある可能性を認めつつも、景気回復が腰折れするリスクや、求職をあきらめていた人たちが労働市場に戻ってくることでインフレ圧力が緩和される可能性もあると指摘、FRBが直面しているジレンマが浮き彫りとなった。


利上げ時期については、労働市場の状況が一段と急速に改善すれば、現在想定されているよりも早い時期に実施され、景気が期待を裏切る動向となれば後ずれすることになると再表明した。


また、労働市場における循環的、および構造的な影響をFRBは見極めていく必要があるとした。


イエレン議長の発言に対する金融市場の反応は限定的で、米株式相場はほぼ変わらず。ドル、米国債利回りは小幅上昇した。


カンバーランド・アドバイザーズのデイビッド・コトック会長は「イエレン議長の講演は、利上げに踏み切るには労働市場の一段の改善が必要という大方の見方を確認する内容になった」と述べた。

Bloomberg News

For Yellen, the slack remains the same: http://bloom.bg/1zbUZTD

Yellen Facing Hard Call on When Labor Market Has Healed - Bloomberg

Federal Reserve Chair Janet Yellen said she still isn’t satisfied with the U.S. labor market. Deciding when she is won’t be easy.


“The labor market has yet to fully recover,” Yellen said today in a speech at the Kansas City Fed’s annual conference in Jackson Hole, Wyoming. While the five-year expansion has put more Americans back to work, “a key challenge is to assess just how far the economy now stands from attainment of its maximum employment goal.”

FRB議長 ゼロ金利解除は慎重に見極め NHKニュース

FRBのイエレン議長は、アメリカ西部ワイオミング州ジャクソンホールで世界の中央銀行の関係者が集まる毎年恒例のシンポジウムに出席し、22日、雇用をテーマに講演しました。
雇用はFRBが続けている異例のゼロ金利政策をいつ解除するかの判断に直結するだけに議長の発言に市場の大きな注目が集まりました。
講演で、イエレン議長はアメリカの雇用の現状について失業率などはFRBの予想を上回る勢いで改善しているものの、正社員になれずパートで働く人の数がなお多く、「労働力が十分に活用されていない」などと指摘し、雇用はまだ回復途上だという認識を強調しました。
そのうえで、焦点のゼロ金利政策の解除について、FRBの内部に早期の解除を求める声が高まっていることも踏まえ、雇用の改善が加速すれば前倒しされることもありうると言及しました。
ただ、イエレン議長は、判断はあくまでも今後の雇用や物価などの指標しだいで慎重に見極める姿勢を強調し、解除の時期や条件などについて新たな手がかりは示しませんでした。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140820#1408532184
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140813#1407927236