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〔アングル〕FRBの従来と異なる労働指標重視、亀裂の原因に | Reuters

様々な労働統計を駆使して金融政策を運営する米連邦準備理事会(FRB)中核メンバーの手法に一部の地区連銀総裁が反発を強めている。


イエレンFRB議長は22日、ワイオミング州ジャクソンホールの経済シンポジウムで講演し、景気後退後の労働市場の動きを詳しく分析。賃金の伸び悩み、パートタイム労働者の多さ、求職活動をあきらめた労働者の存在などを指摘したうえで、結論として、正確な測定は難しいものの、国内経済には依然としてかなりのスラック(需給の緩み)があり、景気の先行きが明確になるまで利上げを急ぐべきではないとの考えを示した。


ただ、他の様々な経済指標は力強く改善しており、連銀内では、多種多様な労働統計に着目することで、かえって経済の全体像がつかみにくくなるとの懸念が浮上している。


ブラード・セントルイス地区連銀総裁とプロッサー・フィラデルフィア地区連銀総裁は、様々な労働指標を重視するイエレン議長やフィッシャー副議長の手法を批判。雇用の伸びと失業率だけで十分信頼できるデータが得られると主張している。


ブラード総裁は、ロイターとのインタビューで「(従来とは異なる)他の指標を取り入れることは、これまでの金融政策の伝統に合わないように思える。非農業部門就業者と失業率がおそらく最善の指標だ」とし、「他の(労働)統計は、歴史的に見て、将来の予測の精度が高くない」との見方を示した。


ブラード総裁によると、特に労働参加率に注目が集まっているが、これまでFRB内で労働参加率が注視されることは少なかったという。


プロッサー総裁も22日のイエレン議長の講演について、金融政策では解決できない労働市場の問題を取り上げていると指摘。「FRBは雇用問題に焦点を絞るあまり、非常に困難な問題にがんじがらめになってしまっている」とし「金融政策を用いて、経済的要因によるパートタイム就業者の数を減らすことができると論じている文献も理論も存在しない」


両総裁はタカ派として知られ、FRBの中核メンバーをたびたび批判しているが、金融政策の決定では、FRB理事5人を含む中道寄りのメンバーの発言力が強いとみられている。


ブラード総裁は、労働統計をめぐって内部対立が起きているわけではないとしながらも、この問題について「健全な討論」が行われていることを認めた。


通常、中銀では注目する指標についてあらかじめ同意が得られており、そのうえで金融政策の運営方針を議論するが、FRBの場合は、どの指標に注目するかで意見が割れていることになる。