見つかったのは、近代日本画の巨匠で、文化勲章受章者の竹内栖鳳が、ヨーロッパから帰国した翌年の明治34年に制作した唯一の油絵とされる作品「スエズ景色」です。
この作品は、明治34年に展覧会に出品されましたが、その後、一般公開されることはなく、昭和初期から行方が分からなくなっていました。
栖鳳の作品の収集を続けている広島県廿日市市の「海の見える杜美術館」が調べたところ、京都の画商が所有していたことから、専門家と共に鑑定した結果、真作と確認したということです。
この作品は、スエズ運河の水面に光が反射していて、その光の描き方に西洋美術の技法が取り入れられている一方で、砂漠や空を水平的に置くという構図には日本画の伝統が踏まえられているということです。
美術館の田中伝学芸員は「日本画の伝統と西洋の技法を融合した栖鳳にとっての転換期を象徴するもので、1つの記念碑的な作品といえる」と話しています。
この作品は、広島県廿日市市の「海の見える杜美術館」で、ことし11月1日から一般公開されます。