日銀が毎月まとめている「雇用者所得」は、物価の変動を除いた名目賃金に国内で働いている人の数をかけあわせたもので、働く人全体の賃金の傾向を表しています。それによりますと、7月の速報値は前の年の同じ月と比べて4.2%上回り、16か月連続で増加しました。
これは、ことしの春闘で大企業を中心に基本給が引き上げられ、企業業績の改善で夏のボーナスも増加し、さらに失業率の低下傾向も主な要因で、平成9年1月以来、17年半ぶりの高い伸びとなりました。
ただ、消費税率の引き上げ分を含む物価の上昇を反映した「実質所得」は低下の傾向が続いています。日銀は、雇用者所得の高い伸びや企業収益の改善などから、景気の緩やかな回復が続くと見ていますが、このところの経済指標で落ち込みが目立つ個人消費が回復するかどうかは不透明だという指摘も出ています。