なぜこれからのビジネスマンにはリーガルマインドが必要なのか?|元法制局キャリアが教える! 法律を読むセンスの磨き方・伸ばし方|ダイヤモンド・オンライン
法律の本などを見ると、「リーガルマインドを身につける重要性」が書かれています。かつては私自身、法律の勉強をしていても、このリーガルマインドというものが一体どんなものであるのかイメージできませんでした。法律の知識を積み重ねることと、リーガルマインドを身につけることとの区別がよく実感できなかったのです。
ところが、そのとき、その違いがわかったような気がしました。誤解をおそれずいうと、リーガルマインドは「知識ではなくセンス」なのです。これまで学んだことがある法律に関することであれば、条文や判例の知識でなんとか乗り切れるかもしれません。しかし、関係する法律の条文や判例が思い浮かばないような場合も大きく外れることのない解決策を思い浮かべられるようなセンスがリーガルマインドの本質ではないかと感じたのです。
こうなれば法律を読むことも、仕事も楽しくなります。これまでバラバラに覚えていた知識が自分の頭のなかでひとつになり、自分の考え方を上手に伝えたり、また、相手の考えることを先回りして議論することも少しはできるようになりました。こうしたことは自分にとって初めての経験でした。しかも、いいことに、知識は忘れてしまえばそれまでですが、この感覚というものは一度つかんでしまえば失われることがないのです。
リーガルマインドの正体についてお話しする前に、まず法律を学ぶ意義について知っておいていただきたいと思います。「法律を学ぶことにはどんな意義があるのですか?」このシンプルな問いかけに、みなさんはどう答えますか?
「法律を学ぶ」というとどんな作業を想像するでしょうか? 長くて難しい条文と格闘したり、聞き慣れない法律用語を暗記したり、といった「やっかい」な作業を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
しかし、それは法律を学ぶことのほんの一部でしかありません。単に知識を身につけただけでは法律を理解したとは言えません。法律を学ぶことの本当の意味は、法律の読み解きを通じて、法的な考え方や感覚、つまり「リーガルマインド」を身につけることにあるのです。つまり、先ほどのとてもシンプルな問いかけには、「リーガルマインドを養うことができる」と答えることができます。
では、「リーガルマインド」の正体とは一体何でしょうか。リーガルマインドとは「物事の正義や公平のストライクゾーンの感覚」であると説明しました。この感覚を身につけられれば、物事を筋道立てて考えることができますし、多くの人が支持する結論を導くことができます。
「物事の正義や公平のストライクゾーンの感覚」といっても、それが具体的にどんなものなのかを説明するのは簡単ではありません。なぜなら、リーガルマインドとは教えてもらうものではなく、たくさんの法律や条文を読み解くうちに自ずと身についてくる能力だからです。ある野球選手が「何百回、何千回もバッターボックスに立っていると、ストライクゾーンが自然に見えてくる」と言っていましたが、リーガルマインドを身につける過程はこれとよく似ているかもしれません。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20140902#1409654998
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20121011#1349966150