https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

焦点:トヨタ成長のジレンマ、メキシコ新工場計画が問う「章男流」経営 | Reuters

新工場は本当に必要なのか。今ある生産能力はぜんぶ使い切っているのか――。複数のトヨタ関係者によれば、章男社長はこの夏開かれた幹部会議で、メキシコでの新工場建設を主張する事業部に対し、その提案を突き返した。そして、10月までに北米などの既存工場で対応できないのかどうか、もう一度生産能力を洗い直すよう指示したという。


北米市場は新車需要が旺盛で、今後も人口増加が見込まれており、中長期的にも成長は確実とみられる。ピックアップトラック「タコマ」を生産するメキシコの既存工場(バハ・カリフォルニア州)も現在フル稼働で、12日には生産能力の引き上げ計画を発表。メキシコは関税を抑えられる自由貿易協定(FTA)を40カ国以上と結んでおり、輸出拠点としても魅力で、工場新設は今が絶好のタイミングと現場の意気込みは強い。しかし、章男社長は違う。


トヨタリーマン・ショック前の急激な拡大により、2009年3月期は前期の最高益から一転し、約70年の歴史の中で過去最悪の赤字決算。09年には大量リコール、11年には東日本大震災による経営環境の激変に見舞われた。その教訓から、章男社長は「身の丈を越えない経営」に舵を切り、13年から3年間は原則、工場を新設しない方針を貫いている。社長には「その約束を反故(ほご)にしてまでも、メキシコでの生産能力を増強する時期なのか、という思いが強い」(トヨタ幹部)。

台数を追わず「良いクルマづくり」を追求する「唯一無二の自動車メーカー」であり続けたい、と繰り返す章男社長。トヨタグループにとって新たな事業拡大機運が盛り上がる中、章男氏の手堅い経営戦略も大きな変化に直面している。