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シリア:アサド政権、対米関係改善を模索 イラクが仲介役 - 毎日新聞

 国営シリア・アラブ通信によると、アサド大統領は23日、首都ダマスカスで、イラクのファイヤド首相顧問と会談し「テロ対策には軍事作戦も重要だが、テロ組織への支援を断つことも重要だ」などと述べた。空爆に直接触れる内容は報じられなかったが、敵対するイスラム国などへの攻撃を好意的に受け止めたとみられる。


 米国は今回、アサド政権に事前に空爆を通告し、一定の配慮を示した。シリア外務省によると、国連大使が米国から直接通告されたほか、米国、アサド政権の双方と良好な関係にあるイラクの外相が、ケリー米国務長官のメッセージをムアレム・シリア外相に届けたという。ファイヤド首相顧問は米国が空爆の方針を決めた後の16日にもアサド大統領と会談しており、イラクが米・シリアのパイプ役を務めている格好だ。


 アサド政権は当初、米国主導の空爆計画に反対していた。ただ、8月に北部ラッカ県の空軍基地をイスラム国に占拠されるなど、脅威はアサド政権の支配地域にも迫っており、イスラム国の弱体化はアサド政権も望むところだった。空爆後の外務省の声明では「イスラム国の被害に遭っている国とともに戦う」と踏み込み、米国などとの共闘にまで言及した。


 方針転換の背景には、米国との接近を図りたい思惑があるとみられる。アサド政権は2011年に反体制派のデモを武力弾圧し、米国などの非難を浴びた。内戦で米国は反体制派を支援。化学兵器使用疑惑が浮上した昨年夏には、米国が政権への空爆に踏み切る寸前まで行った。


 だが、反体制派の中でイスラム国など過激派が勢力を拡大。欧米が支援する穏健派が劣勢で、アサド政権を過激派を抑止するための「必要悪」とみなす意見が少数ながら米欧でも出てきた。シリア側もムアレム外相が8月に「対テロ戦争で協力する用意がある」と述べるなど、米欧に秋波を送っていた。