逸ノ城のふるさと、モンゴル西部のアルハンガイでは、28日の取り組みを前に、実家の「ゲル」と呼ばれる移動式住居に両親やきょうだい、それに親戚など10人以上が集まりました。
母親のボロルトヤさん(43)が草原に向かって牛乳をまいて健闘を祈ったあと、逸ノ城の取り組みが始まると集まった人たちは皆ひと言も話さず、緊張した様子でテレビに見入っていました。
そして逸ノ城が勝った瞬間、大きな歓声があがり、全員で喜びあっていました。
続く取り組みで白鵬が勝ち、逸ノ城は優勝を逃したものの、父親のアルタンホヤグさんは「最初から最後まで、よい相撲を取ってくれた。すごく喜んでいる。いずれは優勝できるのではないか。ケガをすることなく今後も頑張ってほしい」と健闘をたたえました。
また、母親のボロルトヤさんは「本場所はすごくよかったです。来場所も頑張ってほしい」と今後の活躍に期待を寄せていました。
逸ノ城が生まれ育ったアルハンガイのバットツェルゲンという村は、首都ウランバートルから西に400キロ以上離れた場所で、周囲は見渡すかぎり草原が続いています。
冬は気温が氷点下30度を下回る厳しい気候で、28日はまだ9月にもかかわらず、日中でもおよそ氷点下5度で、時折雪がちらついていました。
村の人口はおよそ2000人で、6割の人が遊牧生活を営んでいます。
逸ノ城の家族も遊牧民で、「ゲル」という移動式の住居に住み、羊や馬など合わせて800頭以上を飼っています。
父親のアルタンホヤグさんによりますと、逸ノ城は、この村を離れるまではこうした家畜の世話をしながら、草原で友人たちとモンゴル相撲を取って遊んでいたということです。
また、ゲルには太陽光発電機が取り付けられていて、テレビで日本の相撲中継を楽しむことができます。
かつて逸ノ城もこのゲルで観戦していたということです。
逸ノ城はモンゴルの家庭料理である「ボーズ」という羊の肉を使ったギョーザや焼きうどんが大好物で、馬のミルクもよく飲んでいたということです。