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株主総会、権利確定基準日の柔軟化を=企業統治指針の有識者会議 | Reuters

株主総会の諸問題が議論され、株主が議決権を行使する環境を整えるため、株主の権利確定基準日を柔軟にして総会の集中開催の是正を求める声などが出た。一方で、実務面で柔軟な対応は難しいとするメンバーも見受けられた。


3月期決算企業の株主総会は、依然として6月最終週に集中し、投資家は参加しにくい。また、3月末の権利確定基準日に株主であっても、その後に株を売却してしまい、総会当日には株主ではないケースもあり、経済的な関係がないにもかかわらず議決権を行使できるという問題がある。加えて、総会の招集通知は、会社法が求める総会の2週間前より早期の発送に努めている企業が多いとは言え、とりわけ海外投資家にとっては十分な準備がしにくいとされている。


「イギリスはなんと(権利確定日は)2日前」――日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク理事で、いちごアセットマネジメントのスコット・キャロン社長は、株主にとって議決権行使は非常に重要だと指摘し、コーポレートガバナンスで先行する英国の例を引き合いに工夫が必要だと述べた。


日本公認会計士協会の森公高会長は「会社法上は、なにも3月末を株主の権利確定日にしなければならないということにはなっていない」とし、権利確定日を柔軟にずらすことで、株主総会の集中開催を是正すべきとした。


こうした意見に対して、上場企業で法務を担当するメンバーからは異論が出された。セブン&アイ・ホールディングス(3382.T: 株価, ニュース, レポート)法務部の中村美華・法務シニアオフィサーは、決算期末における株主に決算数値を承認してもらい、承認に基づいて配当するべきとの考え方から、決算期末と株主権利確定日をずらすという「感覚には至らない」と述べた。


招集通知の発送についても、中村氏は「最大限努力しているつもりだが、3週間前というのが限界」とした。決算や監査手続き、招集通知の文言確認や事務手続きなどに時間がかかると話した。


東京大学大学院・法学政治学研究科の神田秀樹教授は、株主総会の開催が非常に煩雑な手続きを伴うため、「どういう事柄について、株主総会というかたちで株主の意思を問うのが望ましいのか、ということを考える必要がある」と指摘。決算や監査は切り離し、例えば、取締役の選任や報酬方針の決定にテーマを絞れば権利確定の基準日と総会の間隔が短縮できると提案した。