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ノーベル物理学賞に赤崎勇氏 天野浩氏 中村修二氏 NHKニュース

ことしのノーベル物理学賞の受賞者に、青い光を放つLED=発光ダイオードの開発に成功し、フルカラーの大型画面の実現などさまざまな応用への道を開いた、名城大学教授の赤崎勇さんと、名古屋大学大学院教授の天野浩さん、カリフォルニア大学教授の中村修二さんの日本人研究者3人が選ばれました。


赤崎さんは鹿児島県出身の85歳。
京都大学を卒業後、当時の松下電器の研究所を経て、昭和56年に名古屋大学の教授になり、現在は、名古屋市にある名城大学の教授を務めています。
天野さんは静岡県出身の54歳。
名古屋大学を卒業したあと名城大学理工学部の教授を経て平成22年から名古屋大学大学院の教授を務めています。
中村さんは愛媛県出身で60歳。
徳島大学大学院で半導体の研究を行ったあと、昭和54年に徳島県の化学メーカーに入社し、14年前からはカリフォルニア大学サンタバーバラ校で教授を務めています。
3人は、LEDの中でも製作が技術的に難しく、20世紀中の開発は無理とさえ言われた青色LEDの開発に取り組みました。
当時、結晶の素材としてほとんど見向きもされていなかった窒化ガリウムに注目し、赤崎さんが昭和60年に、青い光を出すのに必要な高品質の「窒化ガリウム」の結晶化に世界で初めて成功しました。
さらに中村さんが平成5年、独自に開発した装置を使って、極めて明るい青色LEDの開発に世界で初めて成功し、世界中の研究者を驚かせました。
3人の成果によって赤・緑・青の光の3原色のLEDがすべてそろい、組み合わせによってあらゆる色が出せるようになりました。
このため、フルカラーのディスプレイなど、さまざまな分野でLEDの実用化の可能性を広げました。
波長の短い青い色を出す技術は、DVDなどの記憶容量を大幅に増やすことができるブルーレイディスクの開発にもつながり、大量の情報をやり取りする現代社会において欠かせない技術となっています。
こうした業績で赤崎さんと中村さんは、平成10年に世界の電子工学の優れた研究者に贈られる「ジャック・A・モートン賞」を受賞したほか、赤崎さんは平成16年に文化功労者を、中村さんは平成14年にアメリカのノーベル賞といわれる「ベンジャミン・フランクリン・メダル」を受賞しています。
また、天野さんは平成10年にイギリスの「ランク賞」を受賞しています。
日本人がノーベル賞を受賞するのは、アメリカ国籍を取得している南部陽一郎さんを含め、おととしの山中伸弥さんに続いて合わせて22人になります。
物理学賞は6年前の平成20年に受賞した南部さんと益川敏英さん、小林誠さんの3人以来で、合わせて10人となります。

ノーベル賞:物理学賞に中村修二氏ら日本人3氏 - 毎日新聞

 赤崎氏と天野氏は、窒化ガリウムを使った半導体結晶の加工技術を確立し、長年不可能だった青色発光ダイオード(LED)や青色半導体レーザーなどの開発に成功。中村氏はそれらの量産技術を開発し、世界で初めて製品化した。青色LEDは屋外大型ディスプレーや携帯電話のバックライト、屋内照明や信号機などに広く応用され、省エネに大きく貢献。青色レーザーは大容量光ディスクや高速通信機器など今日のIT時代(情報通信)に不可欠なさまざまな技術を可能にした。


 授賞理由は「明るく省エネルギーの白色光源を可能にした効率的な青色LEDの発明」。日本の受賞は12年の山中伸弥・京都大教授に続く快挙で、物理学賞は08年に南部陽一郎小林誠益川敏英の3氏が受賞して以来。日本の受賞者数は、米国籍の南部氏を含め22人(医学生理学賞2、物理学賞10、化学賞7、文学賞2、平和賞1)となる。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金計800万スウェーデンクローナ(約1億2000万円)が贈られる。


 青色LEDは、赤色、緑色の開発に続いて、世界の研究者が開発に取り組んでいたが、材料となる窒化ガリウム半導体結晶を作る技術が困難を極め、70年代後半には多くの研究者が断念していた。


 赤崎氏は、17年間勤めた松下電器産業から名古屋大に戻った81年に窒化ガリウムの研究に着手。85年、サファイアの基板の上に、クッションとなる中間層を置き、その上に窒化ガリウムのきれいな結晶を作ることに成功。89年に世界で初めて青色に発光させ、窒化ガリウムによって青色LEDを製造できることを証明した。95年には青色半導体レーザーの開発にも成功した。


 中村氏は、徳島県阿南市の蛍光材料メーカー「日亜化学工業」に技術者として在籍していた88年、赤崎氏の研究を踏まえ、窒化ガリウムを使った青色LEDの製品化に着手。結晶をサファイアの基板に直接、均一に薄く成長させる技術を5年で編み出し、93年に青色LED、99年には青色レーザーの製品化を世界で初めて成し遂げた。


 一方、04年1月には、青色LED製法特許の譲渡に対する対価を日亜化学工業に求めた裁判で「200億円判決」(05年1月、東京高裁で8億4000万円で和解)を勝ち取り、「技術者の反乱」と話題を呼んだ。


 青色LEDの実現で、光の三原色をLEDで作り出すことが可能になり、白色の照明や屋外のフルカラー大型ディスプレーなどの実用化につながった。寿命が長く消費電力が小さいLEDは、地球温暖化防止や省エネ型の照明、とりわけ原発事故後に国内で爆発的に普及が進んだ。


 また、青色レーザーの開発で、従来のDVDに比べ単層で5倍、複層化で数十〜数百倍もの情報が記録できる次世代光ディスク「ブルーレイ」が実現。映画やハイビジョンテレビの録画など、大容量記録媒体の主流になりつつある。

受賞の理由「3人の発明は革命的」 NHKニュース

ノーベル賞の選考委員会は3人の受賞理由について、「3人の発明は革命的で、20世紀は白熱電球の時代だったが、21世紀はLEDによって照らされる時代になった。誰もが失敗してきたなか、3人は成功した。世界の消費電力のおよそ4分の1が照明に使われるなか、LEDは地球環境の保護にも貢献している。LEDは電力の供給を受けにくい環境にある世界の15億人の生活の質を高める大きな可能性を秘めている」とコメントしています。

青色LEDのすぐれた特性 NHKニュース

明るい光を出す青色のLED=発光ダイオードは、電気を通すと光を出す半導体で、電球や蛍光灯より消費電力が少なく寿命が長いといったすぐれた特性を持っています。


しかし、本格的な実用化に必要な赤、緑、青の光の3原色のうち、青色については明るい光を出すことが難しく、20世紀中に明るい青色LEDを実現するのは困難だと言われていました。
世界中の企業が開発にしのぎを削っていた平成5年、当時の常識を覆す明るさを持った青色LEDが完成したことで、LEDであらゆる色の光を作ることが可能になり、応用範囲が一気に広がりました。
光の3原色がそろったことであらゆる色の光を作ることが可能になり、実用化も進んでいて、大型のディスプレイや信号機は、色が鮮明なために日光が当たっても、くっきりと見えるのが特長です。
また、この技術は白いLEDの開発にもつながり、家庭用の照明やスマートフォンの画面のバックライトなどに利用されています。
ここ数年、特に国内では、3年前の東日本大震災による節電などの影響で家庭用の照明が大幅に普及しました。
さらに、青色LEDの技術は、より短い波長のレーザー光線の開発にもつながり、従来のDVDよりも大幅に記憶容量を増やしたブルーレイディスクの再生機に利用されるなど、大量の情報をやり取りする現代社会において欠かせない技術となっています。


赤崎勇