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医者になるのに「10年かけて8万文字の経典を暗記」 薬のはじまり、チベット医学の世界 | ログミー

いちばん最初の部分です。ギャバルゲーツ、アンブリーダフリーダイアンガーシタッグハッバディッスタンタラナマ、プーケットゥドゥシニポニヤラギューチェイチョ。チベットの言葉で「甘露の精髄からなる八支医学秘伝の経典」と申します。


チベット語読み上げ)。「彼岸の境地に抱かれ、全ての苦しみを救ってくださる薬師瑠璃光如来様に礼拝いたします」。(チベット語読み上げ)。「あの時私はこう聞きました。遥か東方上のタナトゥクと呼ばれる都は5種類の宝石によって彩られ、その宝石から発せられる光はルンの病、ティーパの病、ペーケンの病、それらを複合した病全てを癒してくれる夢のような都がありました」。


(会場拍手)


こんな書き出しで始まり、そして生理学、薬草学、いろんな話へとつながっていきます。

一体なんで僕はこんなことをやったんだろう、ものすごく暗唱に夢中になりました。10年かかりました。4時間のために10年。なんでわざわざこんなことをやったんだろうと考えると、薬の始まり、より始まりに近いところにこの四部医典、チベット医学の経典があるんだと思います。

標高3300m、ヒマラヤのど真ん中にベースキャンプを張り、私たちチベット医学生は1か月間にわたって朝から晩まで1日の休みもなく、薬草を目指して走り回ります。約500種類くらいの植物のうちから薬を作るものを鑑別する。崖をよじ登り、急流を渡り、そして何十kgの薬草を背負って帰ってくるとき、「あぁ、自分はチベット医学を目指してよかったなぁ」って、本当にそう思うんです。

そもそもなんでこんなことを自分はやっているんだろう? こんなことに興味持ったんだろう? って自分で考えた時に、自分の家族に思い当たるんですよね。すごく変わってるでしょう? 別に僕、そんなに暗唱が好きだったわけでも、昔からこんなに薬草に興味があったわけでもないんです。


たぶんまずひとつ思い当たるのが、私の父ちゃんですね。昭和14年生まれ。本当に性格合わないです。便利なものを追い求め、快適なものを追い求め、一流企業に就職してほしい、親のその思いが強ければ強いほど、私をチベットへと追いやったといえます。


(会場笑)


でも、あんまりこういうことを言うと怒られるんで、実は今日だってここにかっこよく歩いてくればいいんですが、父親のプリウスを借りてきました。それに僕、自分で言うのもなんですが結構しゃべるのがうまいのは、私の父がずっと市議会議員、県議会議員を計28年間勤めていて、悔しいけれどもしゃべるのがうまいのは、たぶん父ちゃんのせいです。


(会場笑)


そういう風に作用反作用というか、ちょっとあまのじゃくなんですよ。そういう意味でチベットへ僕を追いやったかもしれません。それだとちょっと、僕の本当の原点は何だろうって考えた時に、1枚の写真を見つけました。

宇宙の始まりから薬の始まり、そして私自身の始まりってやっぱりここにあるんですよね。始まりを知ったらきっと、まずなんとなくみなさん、ちょっと仲良くなれたりつながれたり、信頼が芽生えたりする。そんな気がしています。そして自分がどこから来たかを知るっていうのは、これからどこへ向かうのかってことがわかってくるんじゃないかなって思います。


薬の始まり、それがチベット医学で学んだことであり、そして私が家族から学んだことだと思っています。

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