このシンポジウムは、スイスのジュネーブにある素粒子物理学の研究施設、CERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関の設立60周年を記念して、人類の平和と発展に科学が果たす役割について話し合おうと、ニューヨークの国連本部で開かれました。
初めに、パン・ギムン(潘基文)事務総長が、「気候変動やエボラウイルス、サイバーテロなどの問題を解決するには、世界の科学者の力が欠かせない」と述べ、世界が抱える課題と向き合ううえで科学の果たす役割の大きさを強調しました。
このあと、東京大学カブリIPMUの村山斉機構長が講演しました。村山機構長は、CERNの実験によってすべての物質に質量を与える「ヒッグス粒子」が発見されたことを踏まえながら、「CERNではインドとパキスタン、イスラエルとイランなど対立する国々の科学者たちが一緒に働くのをみてきた。
その仕事の成果がヒッグス粒子の発見だ」と述べ基礎科学の分野では、人種や宗教に関係なく、科学者が協力している様子を紹介しました。