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FRB 量的緩和「終了」決定の方針 NHKニュース

今回の会合でFRBはこのところ金融市場で世界経済の先行きに対する不透明感が広がり株価が値下がりするなど不安定な動きが出たことを踏まえ、その影響などを点検する見通しです。
そのうえでアメリカ国債などを買い入れて市場に大量の資金を供給する「量的緩和」の終了について議論し、市場では雇用情勢が改善していることなどから、FRBは先月表明した方針に沿って「量的緩和」の終了を決めるという見方が大勢です。
FRBは去年12月の会合で、毎月850億ドル、日本円で9兆円を超える巨額の買い入れ規模の縮小に踏みだし、毎回の会合ごとに100億ドルずつ買い入れを減らしてきました。
FRBの「量的緩和」は大量の緩和マネーを世界中に行き渡らせ株価の上昇などをもたらす一方で、新興国からの資金流出などの不安定な動きも引き起こし、世界経済に大きな影響を及ぼしてきました。
量的緩和」の終了が決定されれば、リーマンショックをきっかけに落ち込んだアメリカ経済を立て直すため、FRBが続けてきた異例の金融緩和策は大きな区切りを迎えることになります。
FRBは、日本時間の30日未明に会合の結果を声明で発表する予定です。

今から6年前、2008年9月のいわゆるリーマンショックのあとアメリカ経済は100年に1度といわれる深刻な不況に陥りました。
坂道を転げ落ちるような景気の悪化に歯止めをかけるため、FRBバーナンキ前議長のもと過去に経験のない金融緩和に踏み切ります。
政策金利を事実上のゼロ%に引き下げる「ゼロ金利政策」を開始。
金利を引き下げる余地がほとんどないなか、さらなる対応策として打ち出したのが金融市場に大量の資金を供給する「量的緩和」でした。
FRBが金融機関からアメリカ国債や住宅ローン関連の証券などを買い取って市場に資金をあふれさせることで、企業や家計にお金が流れやすくなるようにし、景気を上向かせようというのがねらいです。
FRBはこれまで3度にわたって量的緩和を実施しました。
1度目は2008年11月から2010年3月にかけて、およそ1兆7000億ドル。
2度目は2010年11月から2011年6月にかけて6000億ドルをそれぞれ供給し金融不安を抑え込み、景気を下支えしました。
そしておととし2012年9月、景気回復の足取りがなお弱いことに危機感を強めたFRBは、量的緩和の再開を決め、雇用の改善が明確になるまで無期限に行うという強力な姿勢で毎月850億ドルを市場に流し込みました。
こうした対応もあって、アメリカ経済は緩やかな回復を続け、一時10%に達した失業率が6%台まで下がった去年12月、FRB量的緩和の縮小を開始すると宣言。
国債などの買い入れ規模を金融政策を決める毎回の会合で100億ドルずつ減らしてきました。
イエレン議長は先月、今回の会合で量的緩和を終了させる方針を表明しています。
今月28日から2日間の討議で、FRB量的緩和の終了を正式決定すれば、アメリカがリーマンショックのあと続けてきた異例の金融緩和策は、1つの区切りを迎えることになります。

およそ6年間にわたる量的緩和によってFRB保有する国債などの資産の規模は今月、4兆4400億ドルに達し、リーマンショック直前のおよそ9000億ドルの実に5倍近くに膨張しました。
日銀が同じ6年間で資産をおよそ2.5倍に膨らませたのと比べると、FRBがいかに急激な勢いで緩和マネーを市場に流し込んだのかが分かります。
この量的緩和の支えもあってアメリカ経済は徐々に回復し、一時10%に達した失業率は先月には5.9%まで下がり、リーマンショック前の水準に戻りました。
また、ニューヨークのダウ平均株価は、リーマンショック後の2009年3月に6500ドル台まで値下がりしましたが、先月には1万7000ドル台まで上昇しました。
一方、緩和策が長期に及ぶにつれ、新たなバブルを懸念する声も次第に高まっています。
FRBはことし7月に公表した報告書でITやバイオ関連など一部の株がやや値上がりしすぎていると指摘。
信用力が低い企業の社債や、所得の低い人に対する自動車ローンなどに緩和マネーが大量に流れ込み、リスクが高まっていると警告しています。

FRBの緩和マネーは、アメリカにとどまらず世界中に行き渡って株価を押し上げ景気回復を支えてきました。
そしてFRB量的緩和を縮小し、緩和マネーの流れが変わるのではないかという観測は金融市場に波乱を引き起こしてきました。
去年5月、当時のFRB議長が「雇用の改善が続けば、今後、数回の金融政策を決める会合の中で、量的緩和を縮小することもありうる」と発言した翌日。
東京株式市場では日経平均株価が1日で1000円以上も下落。
アジアやヨーロッパの株式市場でも一斉に株安が進みました。
また、インドやインドネシアなどの新興国の金融市場では資金を引き揚げる動きが強まって急速に通貨安が進みました。
こうした市場の動揺を受けて量的緩和の縮小は世界経済に悪影響を及ぼしかねないリスクの1つとされ、G20の会議でも主要な議題になりました。
またIMF国際通貨基金などの国際金融機関からはFRBに慎重な対応を求める声が上がりました。
FRBが市場に大量に供給してきた資金の流れが変われば、世界経済にいかに大きな影響を及ぼしうるのかを示しています。