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『刑法綱要 総論』(団藤重光)
P12

 要するに、われわれは、犯罪が必然的現象であることを充分に認識しなければならないと同時に、また、その必然性を誇張して考えすぎてはならない。犯罪はたしかに行為者の素質・環境の相互作用の所産である。素質と人格環境との相互作用のもとに行為者人格が形成され、そうして行為者人格と行為環境との相互作用のもとに犯罪行為が決定されるのである。しかし、このばあいに、人格の形成なり行為なりが、自然必然的に、行為者の選択の自由をまったく排除するような意味で決定されるのではない。人格形成についても、犯罪行為についても−−素質・環境によって制約されながらも−−行為者の主体的な人格態度が規制的に働くのである。

P34

 前章でも論じたとおり、われわれは、素質・環境が人間をいかに必然的に犯罪に駆り立てるものであるかを、冷静な科学的見地から見定めなければならない。それと同時に、人間が素質・環境の制約のもとに行為の自由をもち、また、素質・環境そのものをも、ある程度に支配することができ、かようにして、決定されながらも決定して行くものであることを、みのがすことはできない。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20141103#1415011268
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20141103#1415011270