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金融緩和の蟻地獄にはまった日銀 円安・株高「宴の後」に迫る危機|山田厚史の「世界かわら版」|ダイヤモンド・オンライン

 世は妖怪ブーム。ハロウィーンの日、黒田日銀の「追加緩和」という妖怪が飛び出した。市場はビックリ。円相場は1ドル=113円を抜け、東証ダウは一時1万7000円を突破。NY,ロンドン、東京とマネーの熱狂が地球を回った。


 妖怪は倒れそうなアベノミクスを抱き起そうというのだ。今よりきつい劇薬を飲ませ「国債をすさまじく買うぞ」「株や不動産も買い上げるぞ」と宣言した。こんなことをいつまでやるつもりなのか。株高も円安も、日本経済の回復にはつながらないことはこの一年の実績が語っている。

 「ジャクソンホールの密約」という噂が市場で取りざたされている。8月下旬、米国ワイオミング州の保養地ジャクソンホールで金融セミナーが開かれた。各国の中央銀行総裁が集まる会議の裏で「米国が量的緩和を終えた後、不足する資金を日・欧が埋める、という密約が交わされた」いうのである。


 当局者は否定するが「密約があろうと無かろうと、そうなるだろう」というのが市場の受け止め方だ。ハロウィーン緩和は密約を裏付け、次はECBの出番とウォール街は好感している。


 バトンを渡された日銀は蟻地獄に足を踏み込んだ。資金を止めれば日本だけでなく世界の株価まで動揺する。危ない役割を引き受けた黒田総裁の正気を疑う。米国には「日本の肩代わり」という出口があったが、日本にはない。

 安倍首相が、「アメリカがやっている金融の量的緩和を日本もやろう」と言い出した時、歓迎したのは米国である。前任の白川総裁が慎重だった「異次元の緩和」に黒田総裁が踏み切り、ウォール街はその決断を讃えた。米国で評判のいい“クロダ”は、米国の金融界に都合のいい人物だった。

 日本にとってバブル崩壊は「第二の敗戦」だった。金融の蟻地獄は「第三の敗戦」にならないといえるだろうか。

 メディアを賑わす追加緩和への発言は概ね「肯定的」でヨイショも目立った。その中で目を引いたのはBNPパリバ証券チーフエコノミスト河野龍太郎氏のコメントである。


「国の借金を中央銀行が引き受ける『マネタイゼーション』の色彩が強まった」(日経新聞)。核心を突いている。

 安倍首相は年内に消費増税の可否を決定するという。政府が選んだ有識者が官邸に呼ばれ意見を聞かれている。巷では景気回復を実感できない人がほとんどだ。株高の恩恵は大企業や富裕層だけ。円安はグローバル企業を喜ばすが、庶民は物価高に悲鳴を上げる。実質所得は17ヵ月連続して下がったまま。化けの皮が剥がれたアベノミクスを取り繕い、見せかけの経済をよくして消費増税にこぎつけたいというのが黒田総裁の本音だろう。


「消費増税は世界への公約」「増税社会保障財源などに組み込まれ今更止めるわけにはいかない」という声が財務省を中心に吹き出ている。