この裁判は2009年にイタリア中部のラクイラなどで300人を超える犠牲者を出した地震を巡り、地震学者ら7人が、地震の発生前に安全宣言とも受け止められる情報を出して少なくとも住民37人が避難せずに死亡したとして過失致死などの罪に問われているものです。
1審のラクイラの裁判所はおととし、7人全員に禁錮6年の有罪判決を言い渡し、全員が「過失はなく、極めて不当な判決だ」として控訴していました。
2審のラクイラの高等裁判所では1審と同じように、学者らが地震が起きるリスクを適切に評価し、住民にそれが正しく伝わったかどうかを巡って審理が行われてきました。
10日の判決で高等裁判所は、7人のうち、国の防災機関の担当者1人については一部、有罪として執行猶予付きの判決を言い渡したものの、残りの全員について「被告らの有罪は十分立証されていない」として無罪を言い渡しました。
判決の詳しい理由については90日以内に裁判所から被告側に伝えられることになっています。
この裁判は学者が研究を巡って有罪判決を受けた事例として世界的に注目されただけに、高等裁判所がどのような理由で学者らを無罪と判断したのかが注目されます。