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台湾統一選 与党が主要市長選で敗北 NHKニュース

29日、投票が行われた台湾の統一地方選挙は、全土の県と市で知事や市長などを選ぶもので、このうち、台北市長選では、無所属の新人で、医師の柯文哲氏が、与党・国民党の新人に得票率でおよそ17ポイントの差をつけて初当選しました。
記者会見した柯文哲氏は、「この結果は、台北市民の進歩に向けた決心をはっきりと示すものだ」と述べて、開かれた政府の実現に取り組む考えを示しました。
台北市で無所属の市長が誕生するのは、1994年に今の直接選挙が導入されて以来、初めてです。
これで、国民党は16年間守ってきた市長の座を失うことになります。
さらに中部の台中市でも13年間市長を務めた国民党の現職が、最大野党の民進党の新人に敗れ、敗北の責任をとって、首相に当たる江宜樺行政院長は、辞任すると発表しました。
国民党の有力な地盤とされた主要な2つの市で市長ポストを失ったことは、支持率の低迷が続く馬総統の政権運営に大きな打撃となります。
馬総統は就任以来、中国との関係強化を推進してきましたが再来年の総統選挙では、中国との関係も争点になるとみられることから今後の対中政策に影響するかどうかも注目されます。

台湾の統一地方選挙で与党・国民党が敗北したことについて、中国政府は「結果に留意している」として今後の動向を注視していく姿勢を示しました。
中国政府で、台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の馬暁光報道官は、29日夜、談話を発表しました。
この中で「今回の選挙結果に留意している」としたうえで、「台湾海峡両岸の同胞が、両岸関係の容易ではない成果を大切にし、関係の平和的な発展をともに守り、推進し続けることを望む」として今後の動向を注視していく姿勢を示しました。
国民党の馬英九総統は経済面を中心に中国との関係強化を急速に進めてきましたが、これに対する台湾の人々の警戒感の広がりが国民党の敗北の一因だと指摘されています。
任期が残り1年半となった馬総統の求心力は低下していく可能性があり、中国側は、台湾側が関係強化の動きを減速させるのではないかと、懸念しているとみられます。
中国の習近平指導部は香港で実施している「1国2制度」を将来、台湾にも適用して統一を果たしたい考えです。
しかし今回の台湾の選挙結果は、共産党政権の影響力の浸透に対する拒否感が示されたという点で、中国政府にとっては香港での大規模な抗議活動に続く痛手と言えそうです。