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焦点:年内の日銀ETF買いに不安、10日の購入見送りで疑心 | Reuters

日本株を下支えしてきた日銀のETF(上場投資信託)買いに対し、市場の不安感が強まっている。年内の購入枠上限が近づいているとの見方が広がるなか、実際に日経平均.N225が400円安となった10日、購入が見送られたからだ。

10日の市場で、日本株が急落する中、そのうわさはささやかれていた。日銀がETF購入を見送るのではないか──。日銀がETF買い入れを始めた2010年12月からの買い入れ合計額は、3兆7734億円。2014年末の買い入れ目標額である3兆8000億円まで残り266億円と迫っていたためだ。前回の日銀のETF購入額は374億円であり、同じ規模を維持しようとすれば上限を超える。


これまで日銀は前場終値のTOPIX.TOPXが小幅安であっても、ETFを購入してきた「実績」があった。このため今年分の上限枠が近づいているとしても、午前に1.52%安だった10日の市場では「来年のETF購入枠3兆円を使ってでも買ってくる」(外資系証券トレーダー)との見方も多かった。


しかし、日銀は10日、不動産投資信託(J─REIT)は13億円買い入れたものの、ETFの買い入れは見送った。市場では「少なくとも年内は日銀の下支えがないとすれば、海外の短期筋などにとっては、絶好の売り機会になるかもしれない」(同)との不安の声も出ている。需給期待も日本株買いの材料だっただけに、上昇力が陰る可能性もある。

10日の日本株の急落は、あくまで利益確定売りに過ぎないとの声も多い。中国の担保規制やギリシャの政局不安など海外要因の不透明感も重しとなり株安が加速したが、週末12日のメジャーSQ算出を前に3兆4000億円と比較的、高水準にあった裁定買い残を解消させる動きも広がるなど、ポジションの調整という面も大きかった。


米系証券からのJPX日経400連動型ETFの大口売り──。三京証券・証券事業部マネージャーの藤井勝行氏によれば、10日朝にみられる海外投資家の注文動向で、これまで買われてきた国内主力株への大口売りが観測された。背景は「原油先物価格の下落によって出た損失を埋めるため」(藤井氏)だという。

東京市場の良好な需給環境への継続期待も途切れてはいない。10日には先物ポジションを現物ポジションに入れ替えるEFP(Exchange For Physical)取引が500億円弱観測され「公的年金による日本株買いが続いている」(国内証券トレーダー)との見方もあった。


加えて個人投資家の買いも今後期待できるという。SBI証券・シニアマーケットアナリストの藤本誠之氏によれば、同証券の個人投資家の待機資金は約2兆5000億円と今春から2割以上、増加した。「売り上がった個人投資家のキャッシュは豊富。冬のボーナスシーズンでもあり、個人の投資余力は大きい」(藤本氏)という。


市場関係者が期待するイベントは週末の衆院選だ。300議席を超す与党大勝が見込まれる中、「安倍政権が長期化するとわかれば、海外ロングマネーが流入する可能性は高い。国内企業業績は良好で、日本株のモメンタムは引き続き上方向」と岡三証券日本株式戦略グループ長の石黒英之氏は期待する。


ただ、日経平均は日銀の追加緩和後、約1カ月強の短期間で約15%上昇した。過熱感も強い。


ソシエテ・ジェネラル証券ディレクターの小原章弘氏は「日経平均が1万7000円程度まで下がれば買いたい投資家は多く、下値余地は乏しい」と述べながらも、「日銀買い打ち止めとの認識が広がった場合には、ヘッジファンドなど短期筋が売り仕掛けする可能性は否定できない」との警戒感を示している。