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Hemmi Tatsuo

機械論的生命観に対立する精神史的系譜としてヒライさんはゼンネルト、ガッサンディキルヒャーを取りあげ、生命体の内的結合原理として続く〈種子〉の概念を説く。それに池田さんは呼応して、初期から中期、そしてモナド論にいたるライプニッツの思想的形成がどその系譜といかに交叉するか示す。

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池田さんの取りあげるライプニッツの引用に、直前の発表でヒライさんが提示したゼンネルトやキルヒャーが、自説をディフェンスするための特権的形象として引かれているのをみて、思わず慄然とした。確かにそこにはお二方が論じた複数の対象をつなぐ一本の確かな精神史的軌跡が読み取れたから。

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この線を更に先に未来に延長していけば、そこにはビュフォンやモーペルチュイ、ボネ、そしてディドロの思考の影も明滅していることになる。

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久保田さんは16世紀人文主義者ラムスにおける反ローマ主義、それに基づくガリア神話構築への寄与とフランス語顕揚論等、歴史と言語、政治に関する周到な議論をしてくれた。短時間でありながら、16世紀の歴史記述のイデオロギーまで踏み込むシャープな議論。

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田邊さんはスペインバロック期の詩人ゴンゴラの読解を通じ、死や孤独、頽廃などの主題の背後にある歴史的文脈を論じ、これを環大西洋的ネットワークの再編による新大陸の表象の変容、地理的辺境における有徳と比した自国民の奢侈、頽廃への批判という視点から解き明かしてくれた。

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ラムスとゴンゴラは仏西と国の違いはあるが、ほぼ同時代の著作家。国家意識の覚醒がともに他者=他国の表象を媒介にし、かたや歴史的起源、かたや空間的異境に自国のアイデンティティを担保する場を見いだしていた点では同じ事になる。

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こうして四者の議論を聴いていると、短い時間に知のダイナミックな交叉がこれでもかというほど現れてきた。実にスリリングかつ昂奮する場であった。

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