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イスラム国「謎の指導者」 誕生の経緯 NHKニュース

イスラム国」は、指導者アブバクル・バグダディ容疑者の下で過激な思想に共鳴した戦闘員を集め、シリアとイラクの北部を中心に支配を続けていますが、バグダディ容疑者についてはイラク中部の出身とされる以外詳しいことは分かっておらず、「謎の指導者」とも言われています。
このほどNHKのインタビューに応じたイラクの有力な政治家の1人、ハシミ元副大統領はバグダディ容疑者について、旧フセイン政権の支配政党だったバース党のメンバーで、2003年のイラク戦争の開戦後アメリカ軍を攻撃する武装勢力の活動に参加して拘束された経験があるという情報を得ていることを明らかにしました。
そのうえで、「イスラム国」にはイラク戦争後の国づくりで排除されたイスラムスンニ派の元軍人やバース党のメンバーの一部が加わっているため、アメリカ軍などの空爆が続いているものの地元の協力を得ながら組織の力を維持することができているという見方を示しました。
また、イラク南部にあったアメリカ軍の収容所で監視人を務めていた司法省の職員はNHKのインタビューの中で、バグダディ容疑者が2006年にこの収容所に入れられていたことを明らかにしたうえで、「当初は過激な人物ではなかったが、ほかの収容者の影響を受けて過激な思想に染まった」と説明しました。
さらに、バグダディ容疑者と同じ棟で収容されていたという男性はNHKのインタビューの中で、「収容所で絶対的な存在感を持つようになり、仲間を増やしていった」と話していて、バグダディ容疑者が収容所の中で後に「イスラム国」の幹部となる複数の人物と関係を築いた可能性があることも浮かび上がってきました。

バグダディ容疑者はイラク戦争の開戦後南部の町ウンム・カスルに設置されたアメリカ軍の「キャンプ・ブッカ」と呼ばれた収容所で一時拘束されました。
アメリカの占領下に置かれたイラクでは、旧フセイン政権を支持する武装勢力の攻撃やイラクに侵入した外国のイスラム過激派によるテロが相次ぐようになって治安が極度に悪化しました。
アメリカ軍は、こうした武装勢力や過激派のメンバーと疑われた人物を次々に拘束して「キャンプ・ブッカ」に送り、2007年には収容者の数が4万人近くに上りました。
「キャンプ・ブッカ」はアメリカ軍が2011年にイラクから撤退するのに先立って、2009年に閉鎖されています。

タリク・ハシミ氏は、イラクで少数派のイスラムスンニ派を代表する政治家です。
イラク戦争前のフセイン政権時代には16年間、イラク軍に所属していました。
イラク戦争の開戦後は新たな国づくりに向けた政治プロセスに積極的に参加し、2006年から副大統領を務めました。
しかし、2011年12月、アメリカ軍がイラクから撤退した直後に多数派のシーア派主体のマリキ政権からテロを企てた疑いで逮捕状が出されました。
これに対しハシミ氏は、マリキ政権によるスンニ派に対する不当な政治弾圧だと非難し、隣国トルコに亡命して政治活動を続けています。