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アングル:ギリシャのユーロ離脱論じる独仏、左派けん制が狙い | Reuters

ドイツIW経済研究所のミヒャエル・ヒューザー所長によると独仏の狙いは、ギリシャ以外のユーロ圏諸国は「ギリシャ無しでもやっていけるが、ギリシャは欧州無しではやっていけない」ことをはっきりさせ、野党急進左派連合(SYRIZA)にギリシャを惨劇に導くような行動を思いとどまらせることにある。

世論調査でリードしているSYRIZAのツィプラス党首は、ギリシャがユーロ圏にとどまる意向を示しながらも、勝利した場合には債権国から課された緊縮財政政策に終止符を打つと約束。欧州連合(EU)および国際通貨基金IMF)から借りた2400億ユーロの一部帳消しも望んでいる。

フランスのオランド大統領は5日、ユーロ圏にとどまるかどうかを決めるのはギリシャ国民だと述べた。一方ドイツ誌シュピーゲルは、ドイツ政府はもはやギリシャのユーロ離脱がユーロ圏全体の安定を脅かすことを恐れていない、と報じた。


メルケル・ドイツ首相の報道官はシュピーゲル誌の報道を公然とは否定しなかったが「ギリシャを含む全加盟国そろった形でユーロ圏を安定させることが狙いだ。われわれの姿勢に変化はない」と述べた。


メルケル首相とオランド大統領は冬期休暇中に電話で話し合いを持った上、11日には欧州議会のシュルツ議長とともにストラスブールで会談を予定している。もっともフランスの外交筋は、この会談はギリシャをめぐる危機について協議するものではないと強調した。


この仏外交筋によると、サマラス首相率いる中道右派連合がギリシャ総選挙で敗れた場合、最大の問題はSYRIZA主導の新政権が債務返済期限の延長をどう求めてくるかであって、ギリシャのユーロ離脱云々ではない。


独仏政府は、ギリシャでいかなる新政権が誕生しようとも、2010年以来受け取ってきた救済資金の返済義務を果たすべきだとの姿勢を明示してきた。


フランスのファビウス外相は6日、「ギリシャ国民は意のままに投票する。投票結果がどうであれ、ギリシャは欧州に対する約束を守らなければならない」と述べた。ドイツのガブリエル経済相も同様のメッセージを発している。

SYRIZAのツィプラス党首はハフィントン・ポストの記事でドイツのショイブレ財務相をやり玉に挙げ、ドイツの保守派は「戯言」をまき散らしていると批判。SYRIZAは「人食い鬼でもなければ、欧州に対する大きな脅威でもない。理性を持った声だ」と記した。


SYRIZAが提案している基礎年金と最低賃金の引き下げ策は、フランスとイタリアで一定の共感を得ている。両国自体、成長を回復させるために財政緊縮策を緩めてほしいとEUに譲歩を求めている立場だ。

EU、ドイツ、フランスの当局者らは、やはりギリシャで命運を決する選挙が実施された2012年当時に比べ、ユーロ圏はギリシャの離脱に持ちこたえられる環境が整っていると打ち明ける。ユーロ圏は今では恒久的な国家救済基金を設立し、銀行同盟の基本要素も整った上、銀行はギリシャ向けエクスポージャーを減らした。


サマラス首相が昨年12月に大統領選前倒しという賭けに失敗し、総選挙に追い込まれた際の債券市場の反応を見ても、投資家はリスクが概ねギリシャ一国にとどまり、ユーロ圏全体には及ばないと考えている様子だ。


ドイツ与党キリスト教民主同盟(CDU)のミヒャエル・フックス議会院内副総務は「われわれがギリシャを救わねばならなかった時は過ぎ去った。政治的に脅迫状が付きつけられる恐れはもうない。ギリシャはユーロ圏にとってもはやシステム上重要ではない」と断じた。


欧州委員会のユンケル委員長は、ギリシャ国民は「過激派」に投票する「誤り」を犯してはならない、とまで踏み込んだ。

しかし独仏の政治家や識者の中には、「Grexit」の可能性を論じれば政治的にも経済的にも返り血を浴びる恐れがあり、賢明ではない、とする少数派の声もある。


ドイツ・バイエルン州のゼーホーファー知事は独紙ウェルトに対し「ギリシャ総選挙において、われわれは教師面をするべきではない」と述べ、そうした態度を取れば望ましくない結果を招くと訴えた。


保守派のフランクフルター・アルゲマイネ紙は、ギリシャが離脱しても他の加盟国に余波が及ばないと想定して大丈夫だろうか、と疑問を投げかけた。