ロシアは第二次大戦の結果、北方領土を領有したとの立場。声明は「大戦前の現状を力で破壊し、多くの国を占領したのは軍国日本だ。岸田外相は一般に認められた戦争の原因と結果を修正しようとしている」と指摘した。また、戦後70年の節目に「歴史の記憶を喪失するのは容認できない」と非難した。
岸田外相は講演で、ロシアによるウクライナ南部クリミアの編入を「力による現状変更」としたうえで、北方領土も同様との考えを示した。日露両国はプーチン大統領の年内訪日で合意しているが、今回の外相発言でロシア側が態度を硬化させる可能性もある。
ロシアのラブロフ外相は21日、モスクワで記者会見を開き、日本の記者の質問に答えました。
この中でラブロフ外相は、ことしの適切な時期に実現するため、日ロ両政府の間で準備を始めることで一致しているプーチン大統領の日本訪問について、「大統領はすでに招待を受けた。日本側から具体的な日程が提示されれば対応する」と述べ、実現は日本側の調整しだいだという考えを示しました。
また、ラブロフ外相は、ウクライナ情勢を巡って日本がロシアに科している制裁について、「日本の制裁は欧米諸国と比べ、敵対的ではない」と指摘し、制裁の緩和は大統領訪問の条件にはならないとの認識を示しました。
一方、ロシア外務省は、岸田外務大臣が訪問先のベルギーで20日、「ウクライナで起きていることも力による現状変更だが、北方領土問題も力による現状変更だ」と発言したと一部で報じられたことについて、コメントを発表しました。
このなかで、ロシア外務省は「受け入れられない」と反発し、「歴史を覆し、戦争の原因と結果の一般に認められた理解を修正する試みだ」と述べ、北方領土が、第2次世界大戦の結果、ロシアの領土になったとするこれまでの立場を繰り返しました。