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「耳」を養う研修、台本にない「何か」を探る現場テレビの中で育つアナウンサーの学び ⇒検証現場『TBSアナウンス部』【前編】|中原淳の学びは現場にあり!|ダイヤモンド・オンライン

 東京・赤坂のTBS本社11階にあるアナウンス部の会議室では、研修中のアナウンサー笹川友里さんが練習用のニュース原稿を読む声が響き渡っています。

 アナウンサーの研修は、まず腹式呼吸でお腹から声を出す練習から始まります。「演劇も歌も同じかと思いますが、浅い呼吸で発声すると、喉が開かず、いい声が出ません」。続いて、正しい口の形で正しく発音する練習をします。人によって癖があったり、間違った発音をしていたりするので、日本語の発音を一から学び直します。


「最近はなぜか『さ、し、す、せ、そ』を、シャープに発音できない人が増えています。いずれにしても完璧な発音を身につけるには3カ月ではとても足りません」

 自分で気づく「耳を養う」発声、発音の基礎を一通り学んだ後は、冒頭の笹川さんのように原稿を読んでは、録音した自分の声を聞き、修正する作業を繰り返します。


 この時、清水さんは、発音で気になるところがあっても、すぐに指摘せず、録音を聞かせて、自分自身で気づけるよう指導します。本人が気づかない場合も「この2行に1ヵ所あったけど、どこだと思う?」とヒントを伝え、辛抱強く待つのです。


「すぐに答えを教えるのは簡単です。でもそれでは、自分で気づくことができなくなってしまいます。このやり方は少々じれったいのですが、繰り返すうち、聞き分ける精度が上がってきます」


 こうした「自分で気づかせる」指導方法はICレコーダを導入した数年前から特に重点的に行っています。その理由について、清水さんは「読み方をどれだけ指導しても、3カ月の研修で身につけられるスキルはたかが知れています。


 し かし、現場に出たら我々の手を離れてしまい、丁寧に指導することはできません。結局、番組についた後は、発声、発音、アクセントなどを自分で直し、自分で 上手くなっていかなくてはならないのです。そこで、研修期間は自分の声を客観的に聞く『耳を養う』ための訓練を丁寧に行っています」と話します。

 では、3ヵ月の研修を終えた後、アナウンサーは現場でどのようにして学んでいくのでしょうか。現在、夕方の報道番組「Nスタ」(月〜金15時50分〜 19時)のキャスターを務める入社7年目の加藤シルビアさんにお話を伺いました。


 学生時代からアナウンススクールにも通っていた加藤さんですが、研修中は特に「自分のリズム」ではなく「聞いている人にとってわかりやすいリズムで話す」ことの難しさに直面したといいます。


「自分の節、癖というものはなかなか気づかないもの。研修の3カ月間は、その後20〜30年のアナウンサー生活を続けていくために『耳を養う』ことを学んだ期間でしたね」