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焦点:ギリシャのユーロ離脱、財政緊縮以上に「いばらの道」 | Reuters

ギリシャのユーロ圏離脱、いわゆる「グレグジット」は、起きるとすれば恐らく電撃的な形で実行されるだろうが、それは同国にとって長くつらい道のりの始まりともいえる。ある面では、国際支援プログラムの下でこれまで歩んできたよりも厳しい状況が見込まれる。


急進左派連合(SYRIZA)を中心に誕生した新政権は、ユーロにとどまりたいと考えている。だが2月末に期限を迎える現行の支援プログラムを延長するか、あるいはそれに代わる支援の枠組みを設定することで欧州連合(EU)側と合意できなければ、財政破綻やデフォルト(債務不履行)によって、いやでもグレグジットに追い込まれかねない。

もしもユーロから離脱すれば、ギリシャ経済に対して残っている信頼感は消滅するので迅速な政策対応が必要になる。


制御できない資金逃避を食い止めるためには資本規制の導入は不可避だろう。銀行や金融市場が閉鎖された場合、そうした規制が発動されるとみられる。


次に政府が必要になるのは新通貨だ。この新通貨は歴史的にみれば導入時から非常に弱く、既に資金難に苦しむ多くのギリシャ国民や地元企業が多額の貯蓄を失うかもしれない。それに伴って物価上昇率は急激に跳ね上がる。

グレグジットに先行事例はないが、アイスランドキプロス、アルゼンチンのケースが何が起こるかのヒントを提示してくれる。


アイスランドは自国通貨を持っているものの、2008年に銀行セクターが崩壊した後に資本規制を取り入れた。ユーロ圏に加盟するキプロスは、2013年の危機で2週間ほど銀行を閉鎖し、資本規制も導入。両国とも、今なお一部の規制は解除していない。


一方で両国はいずれも、グレグジットが示唆するような通貨制度の変更は計画していなかった。この点で参考になるかもしれないのはアルゼンチンで、同国は2002年のデフォルト後に通貨ペソのドルペッグ制を廃止している。ペソはその後半年で70%下落し、貧困率は2倍以上に跳ね上がった。

グレグジットが最初に問題になった2012年には、ギリシャ国内で保有されているユーロ紙幣に他と区別するため何らかの方法で印がつけられ、あとで新通貨が発行されるとみられていた。


しかし現実には数多くの複雑な要素がある。例えば、ギリシャ国民が国外に保有する口座のユーロがどうなるかだ。


大半のギリシャ国民は地元銀行から住宅ローンを借りているので、理論的には何も変わらないはずだ。ところがもしもユーロ建てのローンが、価値の下がった新通貨建てで返済されるとなれば、銀行の損失は途方もない額になってしまう。

ギリシャはほぼすべての石油と天然ガスを輸入しており、ドル建てもしくはユーロ建てのエネルギー代金を新通貨で支払わなければならない。


昨年のギリシャのエネルギー輸入代金は75億ユーロで、これは国内総生産(GDP)の約5%に相当。大幅な通貨切り下げにより、たとえGDP縮小を考慮に入れないとしても、輸入代金は2倍に膨らむ恐れがある。

観光業や外航船運営のほかにグレグジットで恩恵を受けそうな産業は、オリーブ油や果実、ヨーグルトの生産業者、あるいは建材、医薬品などでいずれも製品の輸出価格が安くなる。

それでもギリシャは、総額で160億ユーロを超え、現在のGDPの11%前後に当たる貿易赤字を抱えている。