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ウクライナ停戦合意を巡る「かすかな希望」 その内容と注目点(小泉悠) - 個人 - Yahoo!ニュース

協議がこれだけ長時間にわたった理由の一つは、ウクライナ側が親露派武装勢力との直接対話をあくまで拒否したことによる。
このため、紛争当事者の一方であるウクライナが4か国首脳会談の枠組で独仏露の首脳と話し合う一方、親露派武装勢力ドネツク民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の代表者は別の枠組(3者コンタクトグループ)でウクライナ代表と話し合いを行うという非常に複雑な形がとられた(ほかにロシア代表と全欧安保協力機構=OSCE代表も出席)。
加えて、親露派武装勢力側も強硬だった。長時間の協議中、4カ国首脳会議は停戦合意案をほぼまとめかけたものの、親露派武装勢力側は要衝デバリツェヴォからウクライナ軍を撤退させることや、停戦ラインの引き直しなどを要求してこれを拒否する場面があり、交渉はなかなかまとまらなかった。
一方、独仏にしてみれば、米国がウクライナへの軍事援助をちらつかせ始めたこともあり、早期に停戦合意を結ばせないとウクライナ紛争がさらにエスカレートすることを恐れたと見られる。このため、独仏はロシアの肩を持つとまでは言わないにせよ、積極的に仲介役を果たしてどうにかウクライナに停戦を呑ませるよう努力したようだ。
それだけに実際の合意内容にも苦心の跡が見て取れる。

今回の合意を9月の停戦合意と比べた場合、目につくのは、重火器の撤退距離が伸びている点である。

また、上記の兵器の中には「トルナード-S」多連装ロケットが含まれている点だ。

ロシア軍しか保有していない。

もうひとつ興味深いのは、重火器の撤退に際して基準となる線が親露派武装勢力側とウクライナ側とで異なる点だ。
合意文書によると、前者は9月の停戦合意で定められた線を基準として重火器を撤退させるが、ウクライナ軍は現在の戦線を基準として撤退する。

さらに合意文書では、全ての非合法武装勢力武装解除、傭兵や外国軍の撤退、捕虜の釈放と交換などを定めているが、問題はそれが履行できるかどうかだ。

今回の合意文書によると、停戦後、紛争地帯において選挙を実施すること、憲法改革によって地方分権を盛り込んだ新憲法を年内に採択することなどが盛り込まれている。
最終的にドネツクとルガンスクをどう位置付けるかがこの紛争の核心であるとすれば、この新憲法の内容は紛争の行方を左右する重要性を持つ。

実は今回の合意後、4カ国首脳(+ホスト国ベラルーシのルカシェンコ大統領)が記者会見に臨んだ際、こんな場面があった。
フランスのオランド大統領が今回の合意を「完全ではないがたしかに希望がある」と評したのをドイツのメルケル首相が引き継ぎ、「ただし、かすかな希望だ」と述べたのである。

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