小型の無人飛行機ドローンは、現在、アメリカでは安全上の理由などから商業目的で利用することは原則禁止されていますが、産業界からは安全に関する規則を設けたうえで利用を認めるよう求める声が高まっています。
こうしたなか、FAAは15日、ドローンを商業目的で利用する際の規則の原案を発表しました。
それによりますと、利用できるドローンは重さ25キロ以下で、飛ぶ高度はおよそ150メートル以下、速度は時速160キロメートル以下と定めています。
また、ドローンの飛行は操縦者が目で見て確認できる範囲で、時間を日の出から日没の間までに限り、夜間の飛行は認めていません。
さらに、空港の周辺や一般の飛行機の航路に近づくことや、人がいる場所の上空で飛行させることを禁止しています。
ドローンは、空からの撮影や農作物の管理、パイプラインの監視などさまざまな分野での活用が期待され、市場規模がアメリカだけでも今後10年で日本円で10兆円近くに拡大するとも言われています。
FAAは、これら規則の原案に対して一般からの意見を募ったうえで修正し、再来年までには策定を目指す方針で、最終的にどのようにまとまるのか今後の議論の行方が注目されます。
オバマ大統領は15日、「ドローンはインフラ整備や農業、災害対応などに使用できる革新的な技術だ」と指摘し、活用を図っていく意義を強調したうえで、商務省に対して、ドローンを使うにあたってのプライバシーの保護に関する規則づくりに90日以内に着手するよう指示しました。
また、オバマ大統領は、アメリカ政府の官庁が国境警備や災害の監視などの目的でドローンを飛行させる際のプライバシー保護に関する指針を発表しました。
この中で、政府の承認を得た目的でのみ飛行させることや、収集した情報は原則として180日以上保存しないことなどを定めています。
さらに、職員に対し、ドローンを適切に飛行させる訓練を行うことや、飛行させる地域を事前に周知すること、また、飛行目的や実績を毎年公開することなどを盛り込んでいます。
ドローンを巡っては、先月、ホワイトハウスに墜落するなどトラブルも起きているほか、安全やプライバシーの観点から規制が必要だという世論も高まっていて、オバマ大統領としても対策に取り組む姿勢を示したかたちです。