東西の古典の必読書といったリストにプラトンやカントは入っても、中世哲学からは殆ど何も選ばれてこなかったのは明らかに偏っており、アウグスティヌスやトマスを入れることによって人類思想史に対する洞察が飛躍的に高まることは間違いないが、逆に、この二人以外の人物を入れるのはかなり難しい。
アウグスティヌスやトマス以外にも、思想を或る程度専門にしようという人には、ボナべントゥラやスコトゥスやオッカムやアンセルムスも当然ながら読むことをお勧めしたいが、万人にお勧めできるかどうかは微妙なところ。敢えて言えば、有名な神存在証明を含んだアンルムスの『プロスロギオン』だろう。
トマスに関しても、当然ながら、『神学大全』を通読するようなことは、専門家以外にはお勧めしない。そういう意味では、日本語で安い値段で簡単に手に入るのが、神論を扱った部分しかないのが大問題。人間論・倫理学に関するアンソロジーが文庫や新書などの形で絶対に必要。とりわけ感情論の部分など。
山本先生、それは凄く待望されるものではないでしょうか。ちくま学芸文庫などで「トマス・アクィナス・コレクション」(全三巻)といったアンソロジーがあったら、とても嬉しいですよね。
本当にそうですね。それぞれの巻に何を持ってくるかを考えるだけでわくわくします。三巻あると、いろんな関心を持っている人に応えられるし、通読しようと思えば通読できるし、ちょうどいいですね。
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