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アングル:ロシアのパイプライン外交、新計画で競争力挽回か | Reuters

ロシアは昨年、ブルガリアを経由して南欧天然ガスを輸送するパイプライン「サウス・ストリーム」(総工費400億ドル)の敷設計画を、欧州連合(EU)からの反対を受けたとして撤回した。


金融危機に見舞われるロシアが、果たしてトルコやギリシャを経由してハンガリーオーストリアへと通じる新たなパイプライン計画を実行できるかは不明だ。


しかし、たとえ実現しなくても、競合する計画への投資を妨害することは可能だろう。また、ウクライナ危機を発端に緊張が高まる中、将来のロシアへのエネルギー依存度をめぐって、EU加盟国間の足並みを乱す可能性がある。


新たなパイプラインの敷設予定国は、ウクライナ危機にもかかわらず、それぞれロシアと良好な関係を維持しており、国家間で協議を続けている。24日にはハンガリーとトルコの首相が会談した。


ハンガリーのオルバン首相は会談後、「積極的な政策を進める」と述べ、トルコのダウトオール首相も自国を経由するパイプラインについて対話する用意があると語った。

南欧で消費される天然ガスのほぼすべてが、ロシアからウクライナ経由で輸送されている。しかし、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアとウクライナの関係が悪化したせいで、こうした供給ルートが止まる恐れもある。


ロシアは過去10年で2006年、09年そして昨年と、3回にわたりウクライナへのガス供給を停止している。価格をめぐる争いがその原因だが、西側はロシアがエネルギーを地政学的な武器として利用していると非難した。


ロシア国営の天然ガス大手ガスプロム(GAZP.MM: 株価, 企業情報, レポート)は24日、ウクライナからさらなる支払いを受けなければ供給停止も辞さない考えを明らかにし、ウクライナ経由の欧州への供給も危機に陥る可能性があるとした。

石油とガスの約3分の1をロシアに依存するEUは、クリミア併合などを受けてロシアに対し一連の制裁を課してきた。しかし現在、ロシアへの圧力を維持するために、加盟28カ国を一致団結させるのは困難だ。ロシアのプーチン大統領が魅力的な条件を提示して、ハンガリーなどのEU加盟国に秋波を送っているからだ。

米国とEUは、EU周辺国のガス供給網や、カタールや米国からの液化天然ガスの輸入を可能にするターミナルからの供給を増やすなど、エネルギー供給元を多様化する道を模索している。


EUのこうした計画は、南欧へのガス供給において事実上独占しているロシアの立場を脅かしかねず、同国はウクライナを経由しないパイプラインの建設を急ぐ必要に迫られている。

計画されている新しいパイプラインは、ロシアの友好国を通るものだ。


先月就任したギリシャのチプラス新首相は、真っ先にロシア大使と会談。ハンガリーは今月プーチン大統領の訪問を受け、この半年間でロシアと二国間会談を行った最初のEU加盟国になった。その際、ハンガリーのオルバン首相は、ロシアなしでもやっていけると考えているEU加盟国は「亡霊を追いかけている」と述べた。


また、当局の政策に詳しい人物によると、マケドニアもロシアの新計画を支持しているという。だが、「ゾウ同士の戦いでは、アリが最も被害を被る」という比喩を用いて、マケドニア政府は東西対立の板挟みになることに神経を尖らせていると語った。

とはいうものの、新たなパイプライン計画が実現するかについては疑問が残る。


ウクライナ危機をめぐる制裁で西側の資本市場から締め出されたロシアはその影響に苦しんでおり、パイプライン敷設予定先の国々も厳しい財政状況にある。だが、EUが資金援助をする可能性は低い。


ハンガリーに拠点を置くエネルギー・コンサルティング会社「Aurora Energy Kft」のマネジングディレクター、アッティラ・ホロダ氏は同計画は目下のところ「おとぎ話にすぎない」とし、「典型的なロシアのはったり」との見方を示した。


しかしながら、パイプラインが建設される可能性がある限り、ウクライナルーマニアを経由して南欧スロバキアのガス供給網をつなげる「イーストリング」プロジェクトなど、競合する計画への投資の妨げになる可能性は残っている。