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「160億年で1秒しか狂わない」時計を開発 NHKニュース

この極めて精密な「光格子時計」と呼ばれる時計を開発したのは、東京大学大学院の香取秀俊教授の研究チームです。
この時計は、レーザー光によって作ったごく小さな空間に、ストロンチウムの原子を閉じ込めて振動する回数を数え、それを基に時間を計測する仕組みです。
従来の「光格子時計」は、周囲の熱の影響で原子の振動数にばらつきがあり、精度に問題がありましたが、氷点下178度まで冷やすことにより、振動数が一定し、画期的な精密さが実現できたということです。
現在、1秒の基準となっているセシウム原子を使った時計は、3000万年に1秒の誤差がありますが、今回開発された時計は、160億年に1秒の誤差という100倍以上の精度で、宇宙が誕生した138億年前に動かし始めたとしても、0.8秒しか狂わないということです。
こうした精度の高さは、世界でも例がなく、1秒の定義の見直しにつながる可能性があるほか、この時計を離れた場所に置くことによって、新たな測量技術の開発にもつながるということです。
香取教授は「『1秒』がセシウム原子時計で定義されて半世紀がたとうとするなかで、秒を測る精度を格段に上げることができた。日本由来の光格子時計で、基礎科学への貢献だけでなく、時計の概念そのものすら変える可能性がある」と話しています。

1秒という時間は、かつて、地球が自転するのにかかる長さ、つまり1日の長さによって定められていました。
1日を24分割した時間を1時間とし、それを60分割したものが1分に、それをさらに60分割することで、1秒の長さが決められていました。
しかし、19世紀から20世紀にかけての天文学の発達で、地球の自転周期は、潮の満ち干や季節の変化などによって僅かに変動していることが明らかになりました。
このため、いったん地球の公転周期を利用するようになり、その後、1967年の国際度量衡総会によって、原子核が持つ普遍的な現象を1秒の基準として採用することになりました。
具体的には、セシウム133の原子が吸収するマイクロ波の振動数を利用する、「セシウム原子時計」によって1秒は定められています。
しかし、その「セシウム原子時計」にも、原子の熱運動やほかの原子との相互作用によって、3000万年に1秒の誤差が生じます。今回、東京大学のチームが開発した光格子時計は、その100倍以上の精度があり、160億年で1秒の誤差だということです。