■ - d1021の日記

Q＆A：ネムツォフ氏殺害にまつわる疑問 http://goo.gl/jAolSS

【推奨】英FT紙の記事。比較的冷静に状況と事実のみを整理し、最後に複数の仮説を端的に述べている。疑問と言うよりは「状況整理」。良記事です。

　ドリツカヤさんは2日以上、自宅軟禁に似た状況に置かれ、3月2日にウクライナに帰国した。

　ドリツカヤさんはロシアを発つ前のテレビ局のインタビューで、自分は犯人を見ていないと述べ、ただ弾けるような音を聞いた後でネムツォフ氏が倒れたため、殺人犯は背後から来たに違いないと語った。

　犯人は橋の下の道路から吹き抜けの階段を上って現場に来たと考えられている。犯人の逃走については、ドリツカヤさんは白い車を見た記憶しかないと語った。

　警察は2月27日夜に現場を封鎖し、現場検証を行ったように見えた。だが、朝が来る前に、清掃要員が高圧洗浄機を使って一帯を洗い流した。当局は後に、犯罪の痕跡はすべて雨で洗い流されたと語った。

　ネムツォフ氏が殺害された場所は監視カメラに囲まれている。だが、ロシア当局は、現場近くのカメラはすべて、メンテナンスやその他の理由で電源が切られていたと述べた。

　この主張は後に、モスクワ市当局から反駁されることになった。市当局は、カメラは作動しており、クレムリンにこれほど近い場所のビデオ監視は絶対に中断されないと主張した。

　市当局によれば、映像はソ連国家保安委員会（KGB）の後継組織であるロシア連邦保安庁（FSB）に引き渡されたという。

野党はウラジーミル・プーチン大統領を指さし、監視下に置かれていた可能性が高い野党の指導者は、保安当局の知識や支援を得て殺されたとしか考えられないと主張している。一方、プーチン氏は野党勢力に「第五列」や「裏切り者」の汚名を着せることで、彼らに対する急進派の暴力を促したと話す人もいる。

　政府に忠実な向きはネムツォフ氏の殺害を、プーチン氏の名を傷つけることを狙った「挑発」と呼んだ。プーチン氏はこの説を支持しているように思える。一部の国営メディアと国家主義の評論家は、米中央情報局（CIA）やウクライナ政府、あるいは亡命した元財界大物のミハイル・ホドルコフスキー氏が殺害を命じたと非難している。

　捜査官らは、「挑発」説のほか、イスラム主義のテロリストやウクライナとの結びつき、あるいはロシア人の国家主義者が関与した可能性を含め、複数の説を調べていると話している。

　ネムツォフ氏は死亡する数日前の本紙（フィナンシャル・タイムズ）のインタビューで、ウクライナで死んだロシア兵と、それがプーチン氏に及ぼすリスクに言及した。「ロシアは兵士を静かに埋葬している。プーチンはリスクを理解しているからだ」とネムツォフ氏は語った。「彼がこれを隠すのは、そのためだ。私は今、この問題に取り組んでいる」