焦点:日銀15年度物価見通し1.0%に下方修正の声 | Reuters
日銀内で、1月に前年比1%へ下方修正した2015年度消費者物価(除く生鮮、コアCPI)見通しの達成が難しくなっているとの声が浮上しつつある。昨年後半から急速に下落した原油価格の影響などで当面の物価上昇率の鈍化は避けられない見通し。
5月ごろまでにゼロかマイナスになるとの見方もあり、そのことがインフレ期待にどのように影響するのか、日銀は注視することになりそうだ。
日銀は15年度物価見通しを相次いで下方修正してきた。昨年10月末に1.9%から1.7%に下方修正し、同時に追加緩和に踏み切った。今年1月も1.0%に再度引き下げた。
1月の決定会合では、原油価格が1バレル55ドルから70ドルに緩やかに上昇するとの前提を置いたうえで、物価が今年後半に急ピッチに上昇するとのシナリオを描いた。
しかし、その後も物価の回復ピッチは鈍く、15年度1%の達成は難しいとの声が出ている。1月の消費者物価指数は前年比0.2%(昨年4月の消費税引き上げの影響除く)にとどまった。2月以降はゼロもしくはマイナスに転じる可能性も出てきたと民間エコノミストの一部は予測する。
日銀は、原油安が家計の実質所得を増やし、消費を底上げすることで中長期的に物価を引き上げるとして、原油で物価が下落しても、物価の基調は2%目指して上昇しているとのロジックを形成。当面は追加緩和不要としている。
議事要旨によれば、1月の決定会合で委員らは「政策運営に当たっては、物価の基調的な動きが重要との認識で一致した」という。
ただ、日銀内では、さまざまな財の値上げや賃上げが期待されている4月以降に、CPI上昇率がゼロ以下となれば、物価の基調は弱いと判断せざるを得ないのではないかとの見方も一部でささやかれている。
また、今年後半に原油安の効果でプラスの循環メカニズムが働き、次第に物価が上がっていくとの期待が、足元の低いCPIで打撃を受けるのかどうか。その点の見極めが重要になってくると予想される。