No.1273
この法身は曼荼羅の中央に位置している仏陀で、あらゆる諸尊は法身の身を変えた姿であり、しかも法界に遍満していて、さながら虚空のごとき広くて深い仏陀である。
こうした法身の実在を前提にして人間を見なおしてみれば、私たちは一人のこらず法身大日如来に包まれているのであり、煩悩にまとわれたこの身このまま仏陀と一体になっているのである。即身成仏は、こうした真言密教の仏陀観が前提となっている。そして、大乗諸宗とも、即身成仏という語は用いていない。そこで空海は、即身成仏という思想を前面に押し出して、法身大日如来もわれわれ凡夫も、あらゆる角度から見て、異なったものではない、と主張した。