関西電力は福井県にある美浜原発1号機と2号機を、日本原子力発電も同じく福井県にある敦賀原発1号機の廃炉を17日の取締役会で正式に決定し、地元の自治体に伝えることにしています。
また、中国電力は島根原発1号機を、九州電力も玄海原発1号機を廃炉にすることを18日開く取締役会で、それぞれ決めることにしています。
原発を再稼働させる場合には、電力会社はおととし7月に施行された国の新しい規制基準に適合させる必要があり、そのための安全対策に多額の費用がかかります。
また、併せて導入された制度によって運転期間は原則40年とされ、例外的に延長する場合には特別の点検を実施することが義務づけられ、さらなるコスト負担が見込まれています。
各社が廃炉を決定する5基の原発は発電の規模が比較的、小さいことから安全対策に多額の費用をかけて運転を継続しても経営上の利点は少ないと考えているものとみられます。
4年前に起きた原発事故後に福島第一原発以外で原発の廃炉が決まるのは、これが初めてとなります。
原子力発電所の廃炉には数十年かかりますが、原子炉を解体した後の廃棄物や使用済みの核燃料を、どのように処分するかなど課題は山積しています。
東京電力福島第一原子力発電所を除き、日本で廃炉が進められている商業用の原発は茨城県にある日本原子力発電の東海原発と、静岡県にある中部電力浜岡原発の1号機と2号機があります。
このうち、今回の5基と同じ軽水炉と呼ばれるタイプの浜岡原発では6年前に廃炉作業が始まり、完了までに28年かかると見込んでいます。
現在は第一段階で、まず、使われなくなった核燃料を取り出しました。
さらに作業員の被ばくをできるだけ抑えるため、放射性物質を取り除く除染作業が行われています。
来年度からは原子炉周辺の設備の解体へと進みます。
その後、原子炉などの主要な設備が解体され、最後に建屋などが撤去されることになります。
廃炉を進めるうえで課題になるのが、解体によって出た廃棄物の処分です。
電気事業連合会のおおまかな試算によりますと、すでに廃炉中のものも含めた全国57基の原発を廃炉にするとおよそ45万トンの低レベル放射性廃棄物が発生する見込みですが、現在、国内にはこうした廃棄物を受け入れる処分場はありません。
特に原子炉など放射能レベルが比較的高いものは地下50メートルから100メートル程度に作られた施設に処分するとされていますが、処分場を確保するめどは立っていません。
このため、中部電力は16日、放射能レベルの極めて低い廃棄物については原発の敷地内に仮置きする計画をまとめ、国に申請しました。
地元の静岡県は「仮置きは容認するが、ずっと廃棄物を置くことを認めたわけではない」として対応を求めています。
さらに使用済み核燃料を再処理した後に出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のゴミを処分する国の計画は全く進んでいません。
廃棄物の問題を抱えたまま、今後本格化する廃炉が順調に進むかどうかは予断を許さない状況です。
関西電力は17日午前に開いた取締役会で、福井県にある美浜原発1号機と2号機の廃炉を正式に決定し、八木誠社長が福井県庁を訪れて廃炉を決めた理由などについて報告しました。
日本原子力発電も、同じく福井県にある敦賀原発1号機の廃炉を17日の取締役会で正式に決定しました。
4年前に起きた原発事故後に福島第一原発以外で原発の廃炉が決まるのは、これが初めてとなります。
また、▽九州電力も玄海原発1号機を、▽中国電力は島根原発1号機を廃炉にすることを、18日に開く取締役会でそれぞれ決めることにしています。
原発を再稼働させる場合には安全対策に多額の費用がかかりますが、各社は廃炉を決定する5基の原発の発電規模が比較的小さいことから、多額の費用をかけて運転を継続しても経営上の利点は少ないと考えているものとみられます。
高浜原発1、2号機と美浜原発3号機 審査を申請 NHKニュース
17日、関西電力の水田仁副事業本部長が原子力規制委員会を訪れ、高浜原発1、2号機と美浜原発3号機について、再稼働の前提となる審査を申請しました。
今回の申請を受けて規制委員会は、これら3基の安全対策が原発事故後に作られた新しい規制基準を満たしているか審査することになります。
また、国は原発の運転期間を原則40年に限定し、例外的に最長20年の延長を認める制度を導入していますが、高浜原発1、2号機は運転開始からすでに40年がたっているため、再稼働するには、▽原子炉などの老朽化の状況を詳しく調べる「特別点検」を行ったうえで、ことし7月までに延長を申請し、▽さらに来年7月までに審査に合格するだけでなく、詳しい設計の認可も終わっている必要があります。
さらに、美浜原発3号機も来年12月で40年になるため、運転期間を延長するには、来年11月末までに審査に合格し、設計の認可まで終えている必要があります。
3基は、建設時期が古いため審査に時間がかかる可能性もあり、もし期限内に手続きが終わらなければ運転延長が認められずに廃炉を迫られることになります。
関西電力の水田副事業本部長は「時間切れにならないように真摯(しんし)に対応してできるだけ早く審査に合格し、認可まで得られるよう努めていきたい」と話しています。
一方、先月審査に合格した高浜原発3、4号機は、1、2号機が停止していることが前提となっていたことから、関西電力は審査を一部やり直すため、3、4号機の審査を改めて申請しました。