農水省 沖縄県知事の指示の効力一時停止を決定 NHKニュース
アメリカ軍普天間基地の移設計画を巡って今月23日に、沖縄県の翁長知事が沖縄防衛局に対して、名護市辺野古沖での埋め立て工事の前提となる作業を1週間以内に中止するよう指示し、従わない場合は埋め立て工事に必要な岩礁を破壊する許可を取り消す姿勢を示していました。
これに対して沖縄防衛局は、関係する法律を所管する農林水産省に知事の指示の効力を一時的に停止するよう申し立てを行っていました。
審査の結果、農林水産省は沖縄防衛局の申し立てを認めて、知事の指示を一時的に停止すると決定し、30日、沖縄防衛局と沖縄県に通知しました。
決定の理由について、農林水産省は知事の指示により作業を中止すれば普天間基地の移設が大幅に遅れ、基地周辺の住民にとって危険性や騒音の損害が続くこと日米両国間の信頼関係に悪影響がおよび、外交・防衛上の損害が生じることなどを挙げており、こうした損害を避ける緊急性があるため、沖縄防衛局の申し立ては相当であるとしています。
農林水産省では沖縄防衛局が同時に申し立てている知事の指示の取り消しについて、審査を続けることにしています。
林農林水産大臣は記者団に対して、「沖縄防衛局は埋め立て工事に必要な知事の許可を取ってやっているので知事の指示の効力を一時的に停止する申し立ての適格はあると判断した。沖縄防衛局と沖縄県、両方の意見を勘案して決定を行った。知事の指示を取り消すかどうかの不服審査請求の裁決については期限を定めるものではなく、内容を十分に検討して適切に対応したい」と述べました。
普天間基地の移設計画を巡って沖縄県の翁長知事は、今月23日、沖縄防衛局に対して、名護市辺野古沖での埋め立て工事の前提となる作業を1週間以内に中止するよう指示しましたが、防衛局の申し立てを受けて、農林水産省は知事の指示によって作業を中止すれば「普天間基地の移設が大幅に遅れる」などとして指示の効力の一時停止を決定し、30日、沖縄防衛局と沖縄県に通知しました。
これについて、翁長知事は、30日午後5時すぎ、県庁で記者団に対し「国が申し立てをし、同じ国である農林水産省が審査するという対応は、審査が公平公正に行われたか理解できず、残念だ。今後は専門家とも相談のうえ、対応したい」と述べました。
そのうえで、翁長知事は作業中止の期限としていた30日になっても沖縄防衛局が現地での作業を続けていることについて「『粛々と作業を続けていく』ということばは何十回も聞いている。大変残念だが、私たちもいろいろ精査をしながら対応していきたい」と述べ、名護市辺野古沖の埋め立て工事で必要な岩礁を破壊する許可の取り消しも含めて、今後検討していく考えを示しました。