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パレスチナ 国際刑事裁判所に正式加盟 NHKニュース

オランダのハーグにある国際刑事裁判所で1日、パレスチナ暫定自治政府のマリキ外相が、国際刑事裁判所の尾崎久仁子第2副所長から加盟を認める書類を受け取り、パレスチナは123番目の加盟国となりました。
この加盟は、パレスチナが3年前、国連のなかで国家の地位を認められたことで実現しました。
これを受けて、パレスチナ暫定自治政府は今後、去年夏にイスラエルパレスチナ暫定自治区ガザ地区で行った軍事作戦で多くの市民が死亡したことや、占領地であるヨルダン川西岸などでのイスラエルの入植活動が国際法違反に当たるとして、イスラエルの指導者の訴追を目指す方針を示しています。
これについて、国際刑事裁判所のベンソーダ検察官がことし1月、捜査を行うかどうかを判断するための予備審査に取りかかったことを明らかにしています。
国際刑事裁判所への加盟は、去年4月にパレスチナイスラエルの和平交渉が決裂し、関係が悪化の一途をたどるなかで、パレスチナ側が国際機関を通じたイスラエルへの圧力の強化に転じたものです。
イスラエル国際刑事裁判所に加盟しておらず、捜査に協力する義務はありませんが、パレスチナの加盟には強く反発していて、今後、双方の緊張が高まることも予想されます。

イスラエルパレスチナ暫定自治政府は、1993年の暫定自治合意、いわゆるオスロ合意をきっかけに、互いの共存を目指して和平交渉を行ってきました。
しかし、中断と再開を繰り返した交渉は去年4月に決裂し、その後、ガザ地区を巡るイスラエルイスラム原理主義組織ハマスの戦闘では、ガザ地区で2100人が死亡するなど、双方の関係は悪化の一途をたどりました。
事態が好転する兆しが見えないなか、パレスチナ暫定自治政府アッバス議長は国連安全保障理事会の場で、イスラエルが占領を終結する期限を決める決議案の採択を目指しましたが、支持を十分に集めることができず、否決されました。
これを受け、アッバス議長は去年末、イスラエルに圧力を加えるための次の一手として、イスラエルが強く反発してきた国際刑事裁判所への加盟手続きに踏み切り、今回、加盟が正式に認められました。

パレスチナにとっては、国際機関である国際刑事裁判所に、国の地位を認められて加盟を果たしたこと自体、国際社会へのアピールという点で一歩前進となります。
国際刑事裁判所に正式に加盟したことで、パレスチナは今後、イスラエルの指導者の訴追に向けた手続きをとることが可能になります。
具体的には、パレスチナ暫定自治政府は、ヨルダン川西岸などでイスラエルが行っているユダヤ人の入植活動と、去年夏のイスラエル軍によるガザ地区への軍事作戦について、裁判所に付託することを念頭に置いています。
このうち入植活動は、イスラエルが占領しているヨルダン川西岸と東エルサレムに国の政策として住宅の建設を進め、自国民を住まわせているもので、国際法違反に当たるとしています。
パレスチナとの和平交渉で国境が決まる前から国民を定住させることで、イスラエルの領土を既成事実化を図るものだとして、同盟国のアメリカからも批判されてきました。
また、去年夏、イスラエル軍イスラム原理主義組織ハマスの攻撃に対抗するためとして、ガザ地区に行った軍事作戦では、50日間にわたる戦闘のすえ、ガザ地区での犠牲者が大勢の市民を含む2100人に上りました。
戦闘で、イスラエル軍は住民の避難所となっていた学校や市街地にも激しい攻撃を加えており、攻撃が戦争犯罪に当たる可能性があるとして、国連による調査も行われています。
一方、この戦闘では、ハマスがあえて市民が多く住む住宅地や病院の近くからロケット弾を発射するなど、いわゆる「人間の盾」戦術を使っており、ハマス側のこうした行為も戦争犯罪に問われる可能性があります。
国際刑事裁判所のベンソーダ検察官はことし1月、「パレスチナの状況について、予備審査を開始した」と述べ、捜査すべき案件かどうかについて調査を始めたことを明らかにしています。
ただ、パレスチナはこうした案件について、直ちに裁判所に付託するかどうか、態度を明らかにしていません。

パレスチナ強硬派として知られるイスラエルのネタニヤフ首相は、和平交渉には消極的で、3月17日に行われたイスラエル総選挙の投票日前日には「首相を続ける限り、パレスチナ国家は実現させない」と発言し、和平プロセスそのものを否定する姿勢を示しました。
ネタニヤフ首相は選挙に勝利したあと、発言を事実上撤回しましたが、アメリカのオバマ大統領は「発言は額面どおり受け止めている」としており、強い不信感をあらわにしました。
発言をきっかけに、オバマ大統領はイスラエル政策の見直しを示唆していて、アメリカが今後、これまでと同様に国連安保理イスラエルの擁護に回るかどうかが焦点となっています。
パレスチナは、国連をはじめ国際機関の後押しを受けながら、イスラエルに対する外交的な圧力を強めるものとみられ、イスラエルパレスチナの関係は新たな局面を迎えることになります。