ティクリット制圧後はモスル奪還作戦準備本格化か NHKニュース
過激派組織ISから北部の主要都市ティクリットの大部分を奪還したのを受けて、イラクのアバディ首相は1日、ティクリットの中心部を訪れ、兵士らとともにイラクの国旗を掲げて行進し、作戦の成功をアピールしました。
アバディ首相は記者団に対し、「安全を確保したうえで、避難している人々の帰還を進めていく」と述べ、治安の回復と避難民の帰還に取り組む方針を示しました。
イラク政府軍は、1日も市の北側に逃走したISの戦闘員の掃討作戦を続けているほか、ISが仕掛けた爆発物の処理を行うなど、市内全域の制圧を急いでいます。
イラク政府は、ティクリットを完全に制圧したうえで、ISの最大拠点となっているイラク北部の都市モスルの奪還に向けた作戦の準備を本格化させるものとみられます。
しかし、ティクリットやモスルで人口の大半を占めるイスラム教スンニ派の住民の間には、宗派間の対立を背景に、政府軍とともに軍事作戦に加わるシーア派の民兵組織への反発が高まっているうえ、住民の一部は同じスンニ派のISに協力していることから、モスルの奪還に向けた作戦は難航が予想されています。
一方、隣国のシリアでは1日、首都ダマスカス郊外の反政府勢力が拠点とする地区に、ISの武装グループが攻撃を仕掛け、地元の活動家などによりますと、激しい戦闘のすえ、ISが地区の広い範囲を制圧したということです。
アサド政権の政府軍が強固に支配する首都の周辺で、ISが攻撃を仕掛けることは極めてまれで、さまざまな勢力が入り乱れて泥沼の内戦が続くシリアでは、混乱に乗じてISが活動範囲を拡大している実態がうかがえます。