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〔焦点〕「内向き」の英総選挙、国際社会での存在感低下を反映 | Reuters

激戦が予想される5月の英総選挙では、英国と欧州連合(EU)との関係や国内問題が争点となっている。一方、国際舞台で英国がどのような役割を担うべきかという点はほとんど議論されておらず、国際社会での英国の存在感低下を映し出している。


7党の党首が参加して2日に行われたテレビ討論会では、英国の財政赤字移民問題、拡大する公共医療サービスなど、主に国内問題に議論が集中した。


英国統治時代における最後の香港総督として知られるクリストファー・パッテン氏は、非営利組織(NPO)プロジェクト・シンジケートに寄せたコメントで「世界のいたるところで混乱が起きている時に、英国がどのような国際的な役割を果たすべきかという議論がほとんどない」と指摘する。


外交政策について唯一議論が交わされたのは、移民の受け入れに制限を設けるべきかや、EUから離脱すれば状況は良くなるのか、といった点だった。


キャメロン首相は、再選を果たした場合、イギリスとEUとの関係についてEUと再交渉したうえで、離脱の賛否を国民投票で問う方針を示している。一方、労働党ミリバンド党首は、EU離脱に反対しており、基本的に国民投票は行わない方針。つまり、総選挙の結果次第で、EU離脱の賛否を問う国民投票が行われるかどうかが決まる。こうした国民投票は1975年以降行われていない。

英国は依然、国際社会で大きな影響力を持つ。英国の国防費はEU内で最大。国連の安全保障理事会常任理事国であり、経済規模は世界で6番目に大きい。


2011年には、カダフィ政権を倒すためのリビア空爆に参加。昨年までアフガニスタンで軍を展開していた。西アフリカで感染が拡大したエボラ出血熱の対策で英国の拠出金は世界最大規模だ。


ただ、その影響力は明らかに低下している。


米国主導の過激派組織「イスラム国」との戦いは、フランスが参加して初めて英国も加わった。ウクライナ問題では、フランスやドイツが積極的にロシアのプーチン大統領と交渉にあたる一方で、キャメロン首相の存在感は薄い。


こうした背景には、2008年の金融危機以降の財政問題があるとみられる。キャメロン首相は財政赤字を削減するために緊縮財政を行った。その結果、2010年から予算は実質ベースで約6分の1削減された。使える予算の多くは外交分野には回されず、通商促進に充てられた。


英国はこれまで、北大西洋条約機構NATO)中で、国内総生産(GDP)の2%を国防費にあてている数少ない国であることを誇っていた。ただ、総選挙を前に、キャメロン首相も労働党も、こうした状況が今後も続くとは公約していない。

オバマ大統領をはじめ米国の政治家や軍幹部の多くは、英国がEUに留まり、防衛費を増やすことを望んでいる。


他の欧州諸国は、キャメロン首相が、ギリシャの債務やフランスの景気低迷といった問題に目を向けず、国内の利点に関連させEUについて議論することで政治的な得点を稼ごうとしていることに、うんざりしている。


あるEU外交筋は「英国の外交政策に何が起こったのだろう」と強い懸念を示した。