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焦点:日銀展望リポート、物価下振れ度合いで目標期限・政策議論も | Reuters

黒田東彦日銀総裁は8日の会見で、2年程度を念頭に2%の物価安定目標を実現する考えに変化はないと強調した。ただ、消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)は短期的なマイナス転落が視野に入り、消費がもたつく中で先行きの需要動向も不透明。月末に公表する「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」における2015年度の物価見通しの下振れの程度によっては、達成期限の妥当性や追加措置の必要性が議論になる可能性がある。

総裁会見では、2013年4月の量的・質的金融緩和(QQE)の導入から2年が経過し、足元でコアCPIの前年比上昇率が、消費税率引き上げの影響を除いてゼロ%に鈍化する中、当初掲げた2年程度での物価2%達成の約束との整合性を問われた。


これに対して総裁は、QQEは「所期の効果を発揮している」とし、ゼロ%となっている物価についても、原油価格の下落が要因とし「物価の基調は着実に改善している」と強調。物価の基調に変化が生じた場合は「ちゅうちょなく」政策調整するとしながらも、先行きは、企業・家計部門で景気の好循環が続く中で「物価の基調」も改善していくと楽観的な見通しをあらためて示した。

一方、足元をみると予断を許さない材料も多い。ゼロ%まで鈍化している物価上昇率原油価格の下落の影響を受け、短期的なマイナス転落も視野に入る。


今後は電気料金の値下げなどで下押し圧力はさらに強まる見込みで、昨年10月末に追加緩和を決断した要因として挙げている「デフレマインドの転換が遅延するリスク」からは当面、目が離せない。


内閣府の試算によると、今春闘におけるベースアップ(ベア)も0.5%程度にとどまる可能性があるという。昨年の0.4%程度をわずかに上回るが、日銀内にも物価2%の実現には、力不足との声もある。


さらに心配なのは消費増税の反動減収束後も、もたつきが続く消費の動向だ。総裁は雇用・所得環境の改善持続に加え、エネルギー価格下落に伴う実質所得改善などを背景に「消費の下振れリスクが大きくなっているとは思わない」と述べたが、家計調査の結果などには、月々の振れが見られるデータもあり、消費が伸びる感じではないデータがあることも認めた。


そのうえで需給ギャップの改善に「消費がどうなるかは重要なファクター」とも強調し、消費の動向を重視していくスタンスをにじませた。

日銀は今月30日、2017年度までに見通し期間を延ばした展望リポートを公表する。市場では現在の強気の見通しを維持するとの見方が多いものの、原油価格の下落が原因とはいえ、想定よりも下振れている足元のコアCPIや、もたつく消費を踏まえた需給ギャップを踏まえ、先行きの見方は政策委員によってばらつきが大きくなっている。


物価2%達成時期の中心となる15年度の物価見通し(政策委員見通しの中央値)は、現在のプラス1.0%から下振れる可能性が大きい。


その程度によっては、物価2%達成の見通し時期が後ずれし、2年程度としているコミットメントの妥当性が本格的に議論される可能性がある。


その背景に原油価格だけでなく、需要変調の兆しがあれば、追加措置をめぐる議論がメーンテーマに浮上する可能性も否定できない。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150408#1428489755