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NHK NEWS WEB イアン・ブレマー氏 AIIBからみえる国際情勢

イアン・ブレマー氏は、中国をはじめとする新興国が急速に影響力を増し、アメリカの相対的な影響力が低下している国際社会の現状を、リーダー不在の「Gゼロ」の時代と名付けたことで知られる国際政治学者です。

その分析力は国際的に評価され、各国の政府高官や企業のトップら要人に助言や提言を行っていることでも知られています。

「イギリスが創設メンバーとしてAIIBへの参加を決断したことは、アメリカに驚きと落胆をもたらした。というのは、アメリカが参加に否定的な姿勢を示したあとに参加表明をしたためだ。だからこそ、アメリカは『イギリスはいつも中国にすり寄っている』と糾弾するはめになった。米・英の特別な関係の中で、アメリカがこうしたことばを使うなんて、かつて聞いたことがない

「中国は大国になりつつある。仮にAIIBが機能しないことをアメリカが確約できる力があればアメリカの国益にかなうが、今のアメリカにそんな力はない。AIIBは誕生する。そして、アメリカが主導してきたグローバル・スタンダードに挑戦するような金融機関になる。IMF国際通貨基金世界銀行は「国際機関」であるように聞こえるが、実質的にはアメリカの機関だ。アメリカとその同盟国によって創設され、アメリカの価値観、アメリカのドル、アメリカの融資条件で成り立っている。今、直面しているのは、これに“ノー”を突きつける中国の動きなのだ」

「AIIBは、中国が主導し、中国と中国の仲間で作られ、中国の融資基準が用いられる。これに対して、アメリカの仲間でさえ、今や『新しい機関に勝てないなら、入ってしまおう』と言っている。そして、気づけばアメリカと日本がこの問題で孤立している。今、日米両国が迫られているのは“腹をくくって、参加するかどうか”という決断だ」

日本はAIIBに参加すべきだと思うし、アメリカとともに参加するのが望ましい。組織の中にいたほうが、影響力を行使することが簡単なのは言うまでもない。確かに、AIIBの融資基準は、IMF世界銀行と同じではない。だからこそ、どうせ設立されるのであれば、中に入って、影響力を行使するほうが理にかなう。はっきり言おう。AIIBは、みんなでインフラを作るための組織ではない。資金を融資するかどうかの判断は、中国のビジネスにとって“利があるかどうか”だ。だからこそ、どうせAIIBが創設されるのであれば、中国に勝手に銀行運営をさせるのではなく、少なくとも情報を共有させ、影響力を少しでも行使したほうがよい」

日本政府は、まずは“参加見送りの判断は間違っていた”と認めるべきだ。それは日本のみならず、アメリカにも同じことが言える。日米両国はAIIBについて『中国が国際金融システムの中で、アメリカと同盟国の力を弱めようとしており、日米両国にとって懸念だ』という姿勢を取ってきた。ただ、世界は自分の思うように動くわけではない。現実には、中国は世界最大の経済大国になる道を歩んでおり、中国がアメリカに対して、“ノー”という実力が増していく。アメリカは中国を“封じ込める”のか、それとも“共生する”のか、選択を迫られている。しかし、実際には、日米両国は無視することを決め込み、同盟各国がAIIB参加を表明するなか、まるで砂の中に首を突っ込んでいるかのようだ。最悪の行動だ」

「日本は、アメリカと中国との二者択一を迫られているわけではない。日本がアメリカの同盟国であるのは明らかだ。価値観も近く、政治的にも近い。AIIBに参加したとしても、日米関係が消え去るわけではない。日本は中国が今後10年で世界最大の経済大国になるという現実を受け止め、その中国が日本のすぐ隣に存在することを忘れてはいけない」

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150408#1428489749
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150408#1428489750
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150402#1427972144
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150331#1427798728
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