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COLUMN-元気ない日本の輸出・生産、世界経済と企業スタンスがネック | Reuters

15日発表の2月鉱工業生産(確報値)は、前月比マイナス3.1%。3月30日に公表された3月の生産予測値が前月比マイナス2.0%、4月が同プラス3.6%だったが、このところ予測修正率や実現率がマイナスで推移しており、3月、4月の生産動向も予断を許さない。


生産動向に大きな影響を与える輸出は、最近になって盛り返しの兆しを見せていたが、直近の動きはかなり怪しくなってきた。


財務省が発表している貿易指数(2010年=100)をみると、輸出金額は2014年12月に122.7と直近のピークを付けた後、15年1月が109.4、2月が105.8と下がり出した。


輸出数量も、14年12月の95.1から15年1月が86.3、2月が85.7と低下基調となっている。


1つには、世界経済の「単発エンジン」である米経済が15年に入って寒波や港湾ストの影響で急減速し、15年1─3月期の国内総生産(GDP)は1%という予想もあり、対米輸出に陰りが見えていることがありそうだ。


対米輸出額の貿易指数は、14年12月が直近ピークの161.7を記録したが、15年1月は137.9、2月は140.6と停滞感が出てきた。数量ベースはさらに顕著で、14年12月の116.7から15年1月は98.5、2月は102.5と、足踏み感が強くなっている。

国際通貨基金IMF)が14日に発表した世界経済見通しでは、15年の米経済の成長率は3.6%から3.1%に下方修正された。日本の輸出産業にとって、頼みの米経済が当初見込みよりも減速するなら、この先の日本の輸出と生産の伸びに関し、下押し圧力となるだろう。


15年の世界経済の見通しも3.5%に据え置かれた。それも中国の見通しを6.8%として計算した数字だ。直近の中国における貨物輸送量や電力消費量などのデータをみると、中国経済の実態は、かなり下振れするリスクを感じる。


このように日本の輸出・生産を取り巻く外的環境は、決して「追い風」が吹いている状況ではない。

さらに重要なのは、アベノミクスが始まって2年余り、円安が進展しながら日本企業は販売価格を下げて、輸出数量を増やす選択肢を採用しなかったことだ。


その結果、確かに利益率は高まったようだが、数量ベースでの伸びは実現できなくなった。言い換えれば、円安を契機に「シェアを取りに行く」積極性を放棄し、短期的な利益確保に走ったと表現できる。


その結果は、円安効果による利益水準のかさ上げはできても、売上高の大幅な上昇というボリュームの拡大に結びつかないという現象が、目についてきた。


IMF統計によると、2014年の中国の名目GDPは10兆ドル。これに対し、日本は4.8兆ドルにとどまった。


ドルベースでGDPの伸びが鈍いのは、円安で輸出数量を増やし、シェアを拡大しようとする企業が激減した結果、設備投資の誘発を生まなくなったという現実を示している。

ここで指摘した世界経済の停滞と、輸出企業経営者の「消極的スタンス」がしばらく継続するなら、輸出増を起点にした生産の拡大シナリオは、「逃げ水」のように実現できないだろう。


一方、高齢化を背景にした国内市場の縮小を見込んでいる企業経営者が急増しているもようで、このことが国内設備投資に水をかける要因として加わっている。


IMFは15年の日本の成長率を1%に上方修正したが、原油安のメリットを享受してGDPが上向くには、その前提として輸出と生産の上方シフトが欠かせない。


しかし、ここまで見てきたように、そこにはなかなか高いハードルが待ち受けている。これから3、4カ月の輸出・生産のデータが、上向く兆しを見せなければ、国内景気をめぐる「ムード」は、かなり厳しくなると予想する。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150415#1429094194
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150415#1429094199