今月2日に行われた有識者懇談会の3回目の会合の議事要旨によりますと、JICA=国際協力機構の田中明彦理事長が「戦後の歩みは戦前の侵略に対する痛切かつ全面的な反省の上に成り立ったものだ。戦後日本の歩みは大筋で戦前とは180度転換した平和路線であった」などという見解を示しました。
また、外交評論家の岡本行夫氏は「戦後70周年のことし、中国は『反ファシスト戦線』で世界がもう一度結束しようと呼びかけている。とりもなおさず日米の分断策で、これは日本として対応が必要とされる深刻な事態だ」などと指摘したうえで、政府が進める安全保障法制の整備を評価する考えを示しました。
このあと各委員からは、戦後日本の歩みについて、「日本は軍事的に行動できないなかで、国際貢献という形で途上国の発展に貢献してきた」などと肯定的な意見が相次ぎました。
一方、「日本には、対韓・対中関係、靖国問題、慰安婦問題等、処理できていない問題がある」、「国内の平和主義者などに対応する難しさのなかで、極端に軍事力を抑制するなど、バランスを欠いた国家をつくってきてしまった」などという指摘も出されました。
こうした議論を受けて、安倍総理大臣は最後に、「日本が歩んできた70年の道のりをもう1度確認し、静かな誇りを持ちながら、さらに今後の道のりについてやるべきことをやっていこうという気持ちを持つことが、これまでやってきたことを継続していくうえでも大きな力になる」と述べ、戦後70年の日本の歩みに「静かな誇りを持つ」ことなどが、国際貢献などを継続していくうえでも、大きな力となるという認識を示しました。
この議事要旨は総理大臣官邸のホームページに掲載されています。