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日米2+2 新ガイドラインを決定 NHKニュース

日米の外務・防衛の閣僚協議、2+2は、日本から岸田外務大臣と中谷防衛大臣が、アメリカからケリー国務長官とカーター国防長官が出席し、日本時間の27日午後11時前からニューヨークで開かれました。協議では、18年ぶりの見直しとなる新たな日米防衛協力の指針、ガイドラインを決定しました。
ガイドラインは、複雑さを増す安全保障環境の下、平時から緊急事態まで、いかなる段階でも切れ目のない形で日本の平和や安全を確保するための措置をとるとしています。そして、東シナ海南シナ海で海洋進出を活発化させる中国を念頭に、平時からの協力措置として、共同で情報収集や警戒監視、それに偵察活動などを行うとしているほか、日本に対する武力攻撃への対処行動として、島しょ防衛での協力を明記し、自衛隊が奪回するための作戦を実施した際にはアメリカ軍は支援するなどとしています。
また、安全保障法制の整備内容が反映され、「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」として、集団的自衛権を行使する際に想定される協力項目を盛り込んでいます。具体的には、弾道ミサイルを迎撃する際の対処や、海上交通の安全確保を目的とする機雷の掃海活動などを挙げています。このほか、宇宙空間での両政府の連携を強化するとしているほか、日本の安全に影響を与える深刻なサイバー事案が発生した場合には、緊密に協議し、適切な協力行動をとるなど、新たな脅威への対処も盛り込まれています。そして、2国間の防衛協力を確かなものとするため、すべての関係機関が平時から情報共有や調整を行うことが可能になる常設の機関を設置するとしています。
協議のあとの共同記者会見で、岸田外務大臣は、「新たなガイドラインは、日本の積極的平和主義とアメリカのリバランス政策の下で進めてきた、おのおのの取り組みの成果であり、その相乗効果を高めるものだ」と述べました。そのうえで岸田大臣は、「今後、アメリカと緊密に連携し、日本のみならず、アジア太平洋地域や国際社会の平和と安定のために、これまで以上に積極的に寄与し続けたい」と述べました。
また、中谷防衛大臣は、「新ガイドラインではあらゆる状況で日米両国が海洋安全保障に関する協力をすることを重視している」と述べました。そのうえで中谷大臣は、中国が南シナ海で海洋進出を活発化させていることについて、「南シナ海を巡る問題は、地域の平和と安定に直結しており、日米や地域共通の関心事項だ。今回の協議でも、法の支配の重要性について認識を共有した」と述べました。さらに中谷大臣は、新ガイドラインに基づく今後の日米協力の可能性について、「中東のホルムズ海峡での機雷の掃海活動などでも協力を行うかについては、法令に従い、その時々の状況に即して適切に判断するが、アメリカ側とどのように協力を進めていくか確認していきたい」と述べました。

新たなガイドラインは、「強化された同盟内の調整」、「日本の平和および安全の切れ目のない確保」、「地域のおよびグローバルな平和と安全のための協力」、「宇宙およびサイバー空間に関する協力」に分類されています。
このうち「強化された同盟内の調整」では、2国間の防衛協力を確かなものとするには、両政府が十分な情報を得てさまざまなレベルで調整を行うことが必要だとして、すべての関係機関が平時から情報共有や調整を行うことが可能な、常設の機関を設置するとしています。
「日本の平和および安全の切れ目のない確保」では、複雑さを増す安全保障環境の下、両政府は日本に対する武力攻撃がないときを含め、平時から緊急事態まで、いかなる段階でも、切れ目のない形で日本の平和や安全を確保するための措置をとるとしています。
そして、さらに、「平時からの協力措置」、「日本の平和および安全に対して発生する脅威への対処」、「日本に対する武力攻撃への対処行動」、「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」、「日本における大規模災害への対処における協力」の5つの項目に分けています。
このうち、「平時からの協力措置」は、日本の平和や安全に影響を与える状況の推移を常に監視するため、共同で情報収集や警戒監視、それに偵察活動を行うとしています。また、「日本の平和および安全に対して発生する脅威への対処」では、日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対処するとし、この事態は地理的に定めることはできないとして、地理的な制約がないことを明確にしています。両国の非戦闘員を第三国から安全な地域に退避させるための活動や、補給や輸送といった後方支援を行うとしています。「日本に対する武力攻撃への対処行動」は、日本への弾道ミサイル攻撃に対処する共同作戦を実施するほか、島しょ防衛での協力を盛り込み、自衛隊が奪回するための作戦を実施した際にはアメリカ軍は支援するなどとしています。また、日本が生物化学兵器による攻撃を受けた際に、アメリカは適切に支援するとしています。さらに「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」として、集団的自衛権を行使する際に想定される協力項目を盛り込んでいます。具体的には、弾道ミサイルを迎撃する際の対処や、海上交通の安全確保を目的とする機雷の掃海活動、それに、敵への支援を行う船舶への立ち入り検査などとしています。また、今回、東日本大震災の際にアメリカ軍が救援活動を行ったことを踏まえ、「日本における大規模災害への対処における協力」の項目に、日本で大規模災害が発生した場合、アメリカが日本の活動に適切な支援を行うことも盛り込まれています。
「地域のおよびグローバルな平和と安全のための協力」では、日米が国連のPKO活動に参加する場合に緊密に協力することや、国際的な活動に参加する場合、後方支援を行うために協力することが盛り込まれています。
そして、今回、新たに設けられた「宇宙およびサイバー空間に関する協力」では、平和で安全な宇宙の利用を確実なものとするため、両政府の連携を強化するとしているほか、日本の安全に影響を与える深刻なサイバー事案が発生した場合には、緊密に協議し、適切な協力行動をとるなどとしています。

日米防衛協力の指針、ガイドラインは、日米安全保障体制を効果的に運用するため、自衛隊アメリカ軍の協力の基本的な枠組みや方向性を示すものです。ガイドラインは、東西冷戦時代の1978年に旧ソビエト連邦による侵略などの日本有事に備えて、初めて策定されました。そして、冷戦終結後の1990年代半ばになって、北朝鮮の核開発疑惑や台湾海峡危機など東アジアでの緊張が高まったことを背景に、1997年にガイドラインは見直されました。このときの見直しは、日本に対する武力攻撃に加え、朝鮮半島有事を想定し、周辺有事の際の日米協力が中心となりました。今回、日米両政府は、中国による海洋進出の活発化や北朝鮮の核やミサイル開発など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているとして、おととしから、見直しに向けた作業を進めてきました。