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今週の本棚:中島岳志・評 『帰還兵はなぜ自殺するのか』=デイヴィッド・フィンケル著 - 毎日新聞

 2003年に始まったイラク戦争自衛隊イラク派遣は一人の犠牲者も出すことなく、任務を終えたとされる。しかし、NHKの調べでは、28人もの帰還隊員が自殺していたことが判明している。本当に犠牲者が出なかったと言えるのか。なぜ、帰還兵は心の病に苦しめられるのか。


 本書は主にイラク戦争に従事したアメリカ人兵士を取り上げる。イラクアフガニスタンに派遣され、帰還したアメリカ人は約200万人。そのうち20〜30%が精神的・心理的障害に悩まされているという。彼らは鬱、不安、悪夢、人格変化、記憶障害などを抱え、苦悶(くもん)する。そして日々、自殺者が出続けている。

 いま日本の安全保障体制が劇的に変わろうとしている。すでに28人の自殺者を出し、多くの帰還隊員が心の病に苦しむ中、同じ悲劇を拡大させようとしている。