フランスでは、5月8日は第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した記念日とされ、70年となることしもパリの凱旋門で恒例の式典が行われました。
オランド大統領はいまだ身元が確認されていない元兵士の墓に花をささげて犠牲者を悼みました。演説の中でオランド大統領は「戦争を経験していないわれわれは戦争をどこか遠い話だと捉えがちだが、ウクライナや中東などで起きていることは遠い話ではない」と述べ、歴史の風化に警鐘を鳴らすとともに今も世界で続く紛争を直視することが重要だと訴えました。
そのうえで、ことし1月にパリで起きた新聞社やユダヤ系食料品店を狙ったテロ事件を念頭に「テロリズムや人種差別、反ユダヤ主義は、今もわれわれを戦争へと駆り立てるものだ」と述べ、戦争の悲劇を繰り返さないためにも宗教や人種の違いなどを乗り越えていくべきだと強調しました。
8日にはナチス・ドイツによって大きな被害を受けたポーランドでも式典が行われるなど、ヨーロッパにとっては犠牲者を追悼し平和への誓いを新たにする日となっています。
ドイツでは、第2次世界大戦でナチス・ドイツが降伏し終戦を迎えてから8日で70年となりました。
ドイツのガウク大統領は、大戦末期、ナチスの崩壊を決定づけた戦闘が行われた場所のひとつドイツ東部、ポーランドとの国境の町、レブースにある旧ソビエト軍の兵士の墓を訪れました。
そしてガウク大統領は「ドイツを解放するために命を落としたすべての人に感謝している」と述べ、戦没者を追悼しました。
一方、ベルリンの連邦議会では追悼式が行われ、ラマート議長は、旧ソビエトを含む連合国によってドイツをはじめヨーロッパはナチスから解放されたと説明したうえで「ドイツはこの70年、隣国と共に平和と自由の道を歩んできた。隣国の対応に感謝し、この道を進み続ける」と述べ、隣国との友好関係を重視する姿勢を示しました。
また、ドイツのメルケル首相も10日、モスクワにある旧ソビエト軍の「無名戦士の墓」を訪れることにしています。ドイツは70年前の終戦は敗戦ではなく、ドイツ国民がナチスの支配から解放された日だと位置づけていて、旧ソビエトをはじめとする連合国側の兵士を追悼することでナチスと決別する姿勢を改めて強調しました。