アングル:独連邦債発の債券売り、投資家がはまった「罠」 | Reuters
ユーロ圏市場から始まった債券市場のここ数週間の急落は、8年間続いた堅調相場の調整に過ぎない、と考えることができるかもしれない。一方で、流動性という重要な問題についての真実が浮き彫りになったとの指摘がある。
投資家がみな同じ方向を向いた場合、市場としての機能は損なわれ「非流動的」な状況に陥る、という教訓が示されたためだ。
2007年以降、各国の中銀は11兆ドルを市場に供給した。金融資産価格は過去最高水準に上昇。投資家は、安全資産とされる債券と、よりリスクが高い株式の両方が上昇し続けると確信した。
流動性の高い市場というのは定義上、価格が双方に動く市場のことだ。一方、投資家は皆、同じ方向に向かっていたため、実際に市場は「非流動的」な状態にあった。
シティのストラテジスト、マット・キング氏は「ニュースらしきものが何もないのに、価格は大きく動いた。皆が同じ方向に向かっていることが根本的な問題だと誰もが認識しつつあった。特にトレンドが明確な市場は、原因もなく突然逆方向に動きがちだ」と語った。
今回のユーロ圏市場から始まった世界的な債券売りをみると、安全とみられていた投資がいかにぜい弱であるかが浮き彫りになった。
アナリストは、債券市場の急反落を引き起こした原因を特定できずにいる。ただ、震源地は、独連邦債市場だった。
JPモルガンは、中銀の資金供給がもたらしたものの一つとして、金融市場は落ち着いた状態が続くと投資家が確信した点を挙げた。投資家は、低ボラティリティを反映させるためポジション拡大を促す「バリュー・アット・リスク(VaR)」モデルを適用した。この方法はうまくいったが、このモデルがまん延すれば、センチメントが急に変わった時に、誰もが同時に出口に向かい混乱が起きる、と指摘する。
米商品先物取引委員会(CFTC)のデータをみると、2014年10月、米国債の下げを見込む投機的な「ショート」が過去最高水準に達した。ただ、市場はその直後、逆の方向に大きく動いた。
3週間前に欧州では逆のことが起きた。投資家は、欧州中央銀行(ECB)が3月に開始した1兆ユーロの国債買い入れにより、利回りがゼロ近辺に低下する、と見込んでいた。しかし、4月中旬に過去最低の0.05%だった独連邦債10年物利回りは、年初来水準となる0.80%まで上昇した。
パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)の欧州ポートフォリオ部門代表、アンドリュー・ボールズ氏は、流動性不足が市場の急落を増幅させた、との見方を示した。
JPモルガンの試算によると、2014年初めには、1人の投資家が30年物独連邦債先物を100枚取引しても相場が大きく動くことはなかった。今や、この水準は20枚に減った。ここ3週間、30年物独連邦債先物は約24ポイント(2400ティック)低下した。
流動性不足とそれを受けたボラティリティの高まりにより、安全資産への信頼は永遠に損なわれたかもしれない。
ケームズ・キャピタルのインベストメントマネジャー、サンドラ・ホールドウォース氏は「根本的な変化だ。誰もが教訓を学んだため、またあれほどの水準まで下落することはないだろう」と語った。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150515#1431686392
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http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150514#1431599858
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150512#1431427107
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150509#1431167925
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150507#1430995700
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150507#1430995702
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150505#1430822774
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150502#1430563296(今週はドイツの10年物国債が急落し、利回りが約2年ぶりの大幅な上昇を記録した。)
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150430#1430390906
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150430#1430390919
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150424#1429872486
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150416#1429181016
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150414#1429008067
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20150413#1428922365