でも、一番大事なこと、高度成長の基礎を作ったのが、GHQによる農地解放であるという真実は言わなかった。大塚久雄の名前も出さなかった。まあ、それはいいだろう。安倍晋三と籾井勝人の放送局だから。しかし、昔の通産官僚はいいね。社会主義と自由主義の間を行く産業育成策。中国がお手本にした。
NHKスペシャルで高度成長特集やっていて、通産官僚下村治の理論が紹介されてる。下村の議論のキモは大量生産-大量消費のサイクルを確立することで失業を解消し「誤った戦争」に走ってしまった経済的要因をなくすことにあった。アベノミクスで戦争に走ろうとしいる安倍政権とは違う経済政策ですね。
下村は通産官僚だけど、経済安定本部出身。戦前はドイツ反帝グループにいた経済学者有沢広巳が長官で、リベラル派の巨頭都留重人がいたところで学んだ、戦後民主主義経済の流れにあるわけで、そこをきちんと描かないNHKスペシャルはダメです。
NHKスペシャルは「下村は高度成長後、ゼロ成長を唱えましたが、その見方はあたらず、日本はマネーで成長するようになりました」とアベノミクスを肯定するような締め方をしたが、晩年の下村はレーガン政権の新自由主義を批判し、日本のバブルを批判していた、マネー経済批判の先駆だったのに。
下村は1930年代の反ファシズムとニューディールの時代にアメリカに留学し、ケインズの一般理論を学び、同時期にアメリカに留学していた経済学者都留重人と戦後に経済安定本部でともに働き、激しい論争を展開する。反戦と反ファシズムを前提に経済学者が論争していた時代。
下村治を知りたければ、沢木耕太郎「危機の宰相」文春文庫 を読むといいです。
NHKスペシャルが最低なのは、実は安倍はアベノミクスの成長戦略の演説で、下村治を何度も使ってるわけ。下村の経済成長理論が安倍経済成長理論のバックボーンであるかのようにしているのを、NHKは持ち上げたわけですよ。どんだけ安倍に媚び売ってんだNHKという話し。
NHKは歴史修正をやめろ。
いやほんと、今日のNHKスペシャルみてると、歴史修正主義の波が戦前、戦中からついに戦後にまで押し寄せてきている感じがしたね。