https://d1021.hatenadiary.com
http://d1021.hatenablog.com

黒田ショックまで1年足らず、賃金加速の真相を見よ−フェルドマン氏 - Bloomberg

モルガン・スタンレーMUFG証券のチーフエコノミストロバート・フェルドマン氏は、物価を押し上げる賃金の上昇基調は公式統計が示すより強いため、黒田東彦総裁は来年にも異次元緩和の縮小を始めると読む。


同社の推計データによると、労働時間当たり賃金 の伸び率は2013年3月にプラス圏に浮上して以降、上昇傾向となっている。フェルドマン氏は9日のインタビューで、時給の伸び率は「あと1年くらいで2%程度に達し、消費者物価も追って2%前後になっていく」と述べた。長期金利の指標となる新発10年物国債利回り は来年半ばまでに足元の2倍超となる1.25%へ上昇するとみている。

フェルドマン氏は、財務省の「国の債務管理の在り方に関する懇談会」の委員を務め、財政健全化や成長戦略に関する提言を続けている。今回のインタビューでは、「債券市場にとって重要なのは賃金と物価の関係だ。賃金は1人当たりではなく、1時間当たりを注視すべきだ」と主張。「労働は基本的に商品で、企業にとっては投入コストだ。これが持続的に上がっていくか否かが物価動向に影響する」と説明した。
総務省が発表した4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI )は消費増税の影響を除くとゼロ%の伸びにとどまっている。日銀は4月末の「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、2%への到達時期を従来の「15年度を中心とする期間」から「16年度前半ごろ」に後ずれさせた。モルガン・スタンレーは来年1.5%、17−19年は消費増税分を含めて年1.8%程度と予測している。


厚生労働省の毎月勤労統計では、1人当たり現金給与総額 が4月に前年比0.9%増加。物価の影響を除いた実質賃金 は2年ぶりにプラスとなった。有効求人倍率 は1.17とバブル期直後に当たる1992年3月以来の高水準だ。


モルガン・スタンレーが算出する時給指数 は、安倍晋三内閣が発足した12年12月の前年比マイナス0.696%を底に、今年1月には1.713%と98年6月以来の伸びを記録した。フェルドマン氏は「賃金の上昇はここまで加速している。労働需給の逼迫(ひっぱく)を背景に、今後もこのトレンドが続くだろう」と述べた。


フェルドマン氏は、賃金動向の分析には「目玉焼きが大事なのに、厚労省の統計はスクランブルエッグだ。黄身と白身を分けて考えなくてはいけない」と言う。一般労働者とパートタイマーの賃金格差が大きいため、両者の構成比が変化すると計算結果が実態から離れて押し下げられがちだと指摘。低賃金の新規雇用が増えると情勢が悪化したように見える点も「違和感がある」と話した。